case.5 「夕陽に還る記憶」
W 同日 PM4:17
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なんだかよく分からない…。この高坂神父が嘘を吐いているとは到底考えられないが、だとすれば、前任者の眞下神父が何かを隠していたのか?いや…組織としての教会が何かを隠蔽したとも考えられなくはない。それはとても嫌な考えだが、そうでないとすれば、高坂神父が何も告げられずに着任したとは考えにくい。
俺があれこれ考えていると、高坂神父が小声で話し掛けてきた。
「やはりおかしな話だと思います。私も不可思議に思っているのですが、それが…資料収集を始めてから、どうも誰かに邪魔をされているような気がしてならないため、一層不審に感じているのです。」
「何故そうだと?」
神父の言葉に、今まで聞いているだけだった田邊が口を挟んだ。まぁ、こんな曖昧な話、田邊には耐えられないだろうからな…。
高坂神父は溜め息を洩らし、少ししてから話始めた。
「私が市役所や不動産関連の会社に問い合わせた時、どうも話を逸らせたりはぐらかしたりと…全く問答にすらならない始末なのです。時には分からないと言って電話を切られたり、伺って話をしようとしても追い出されたりと…。まるで何か圧力でもかかっているのではと考えたのです。」
何かドラマか映画のようだな…。高坂神父も参ったと言った風な表情を浮かべ、再び溜め息を洩らしている。
「先生…当たりの様ですね…。」
俺の耳元で田邊が囁くように言った。ま、こんな奇妙な話は他では有り得ないだろうし、恐らくこの教会…いや、元教会があった場所が、小野朝実に関係した土地だったに違いない。
だがしかし、彼女の墓所は未だに不明だ。どうしたら、ここまで複雑怪奇になってしまうのやら…。だがそこに、田邊が新たな問題提起をしてきた。
「もし仮に、元教会があった場所をどこかの企業が買い上げ、墓を有無を言わさず移動させていたら…?高度経済成長期の中にあって、絶対無いとは言い切れないかと…。」
「いくらなんでも…それは親族が猛反発すると思うが?移動するにしても、宗派どころか、宗教自体違うところへはさすがに無理だろうしな。」
俺は腕組みをして考えてみたが、墓をそう簡単に移動させることなど想像も出来なかった。だが、そんな俺の言葉に、高坂神父が異を唱えた。
「いえ…有り得る話かも知れません。旧い墓所は親族の絶えているものもありましたでしょうし、当時の企業はかなりの財もありましたから…。その財にものをいわせ、個人を黙らせた可能性は大いに有り得る話ではないかと…。そうか…そう考えれば…。」
高坂神父はそう言って淋しげに口を閉ざした。だが、その考えは宗教云々ではなく、人間の感情そのものを否定ことになりかねない。信仰心を金銭で動かせるということは、それは人間の感情が金銭でどうにでもなるということ…。現代にあっても、それはとても恐ろしいことだ…。
「そうでないことを
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