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藤崎京之介怪異譚
case.5 「夕陽に還る記憶」
V 3.2.PM2:46
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うし、闇雲にあたったとしても徒労に終る可能性が高いからな…。だが、やるしかなさそうだ。
「田邊君。その三人の親族の住所は分かってるのかい?」
「はい。二人は結婚して直ぐに亡くなってますので、嫁ぎ先と実家の住所を調べてあります。残りの一人は結婚する以前に亡くなったようで、こちらも縁者の住所は分かってます。まさか…行かれるんですか?」
 また半眼でこっちを見てる…。だが、なんて末恐ろしいヤツなんだ…。どうやったらこの短期間でここまで調べられるんだ?今度聞いてみようか…いいや、それは聞かぬが花かもしれないな…。
「これから行ってみようと思う。夜には天宮さんに連絡を入れたいから、今日は一つ行ければ良いだろう。で、一番近いのはどこだい?」
「…群馬なんですが…。」
「はぁ!?都内じゃないのか?」
「……。」
 無理だ…これから行ける場所じゃない。俺は仕方なく別の方法はないかと考え、とある事を思い付いた。
「田邊君…。現在でも、三人の菩提寺は同じ場所にあるのかい?」
「…はい。大戦で二つは建て直されましたが、一つは戦禍を免れてます。ですが、焼け落ちた一つは教会ですけど。」
「一人はクリスチャンだったのか?」
「ええ。その教会は戦後移動していて、それが一番近いですかね…。」
「どこなんだい?」
「隣です。」
「……。」
 田邊はにこやかに微笑しながら「行かれますか?」と問ってきた。何故かとても腹立たしいのは…気のせいか…?
 俺はなんとか気を鎮め、目の前で微笑み続けている悪魔の様な田邊に言ったのだった。
「行くよ。」
「それで…残る二つはどうなさるつもりなんです?」
「ま、それは成り行きしだいだな。親族縁者には、美桜に行ってもらうさ。」
「…美桜さん…ドイツから帰国されてるんですか…?」
 美桜の名を出した途端、田邊の表情が一変した。
 美桜とは、俺の妹のことだ。この字は“みおう"と読みたくなるが、実は“みお"と読む。正式には美桜・マリーア・藤崎。田邊とは以前から犬猿の仲で、顔を合わせる度に睨み合っているのだが…どうしてかは分からない。
 まぁ、そんなことはどうでもいい。美桜は一応小説家として本も出版しているが、本業は画家であり、いつも世界のどこかしこを飛び回っている。一ヵ所に留まっていられない性格のようだ。そんな妹から、先日俺の携帯へと帰国のメールが届いていた。
 一応こちらがどんな状況かは伝えてあるが、美桜は小説のネタになると嬉しそう言っていた…。
「先生…また事件を面白可笑しく書かれたら困るじゃないですか!この前だって…」
「分かった分かった!だが、美桜はあれでいて行動は的確だし、仕事に常に縛られない時間を自由に使えるところは役に立つだろ?小説のネタとしては勿論、制限を付けるから。」
 田邊はそれでも不満らしく
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