第十九話
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だけど、俺なんか悪いことした」
「本気でそんなことを言っているのか? では、亜須葉、……お前はどうなの? 」
子供に呼び捨てにされ、一瞬言葉を失ったように見えたが、すぐに好戦的な目をして亜須葉が王女を見る。
いや、睨む、かな。
「だめよ、年上の人にそんな言葉遣いをしちゃ。……そうか、あなた、日本に来てそんなに時間がたってないのよね。だから、まだちゃんとした日本語が喋られないのかな? 」
「はあ、……まったく、お前も無礼ね。少なくともお前のほうがわたしより年下なんだけど……まあいいわ。
お前も覚えていないというのか。……人としてお前達は下劣だと思うけど、どっちも忘れてしまっているっていうんなら仕方ないわね。まったくお前達の頭の中を見てみたいわ。よくも簡単に忘れられるものね」
そして興味が無くなったかのように歩き出し、勝手に車の助手席のドアを開け乗り込んだ。
「あ、おいおい。勝手に乗っちゃ……」
俺はきょろきょろと十さんと亜須葉を見る。
十さんは呆れたような顔をし、亜須葉はあきらかに頭に来ているみたい。
「じゃあ、こんなところにいてもなんだから、とりあえず行こうか」
仕方ないので俺は二人を促した。
車内を見ると、王女は助手席でふんぞり返っていた。
「……そうですね、亜須葉様もお乗りください」
そう言うと十さんは後部座席の扉を開け、俺たちが乗るのを促した。
俺が反対側のドアを開けて乗り込むと、慌てて亜須葉も乗り込む。何か言いたそうな顔をしているが、特に何も言わなかった。
「では発進します。どちらまでお送りしましょうか? 」
「俺のアパートまで行って貰えますか? それとできたら途中で店によって、彼女の服を買ってもらいたいんですけど。あ、ついでに俺の学生服も」
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