第ニ十二夜「アクアマリンの憂鬱」
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、ここでもアクアマリンは叫び続けていた。
―なにベタついてんのよ!私はどうなるわけ?まさか、これでお仕舞いなの!?―
何か勘違いしているアクアマリンはさておき、二人は喋りながら家の前まで到着した。
「本当に寄らないの?」
「ああ。仕事が大変だろうし、またにするよ。なんかあったら直ぐ来るから。」
男性はそう言いながら、開かれた玄関先へと荷物を置くと、直ぐに外へと出たのだった。
そして彼女へと振り返り様に、男性は言った。
「なぁ、今度ゆっくり旅行にでも行かないか?ま、仕事が片付いたらだけどな。」
「本当!?じゃ、頑張らないとね!」
かなり嬉しい様子であるが、アクアマリンはその時でさえ、何やら声を荒げていた。
―なにさなにさ!私をこんな目にあわせといて、お二人は旅行ですって?なんて酷い人達なのよっ!―
連れていってほしい…とは言わない。本当は行きたくて行きたくてしかたないのではあるが、絶対に言わない。
なんとも…気位の高いアクアマリンである。
暫くして男性は「それじゃな。」と言って立ち去り、彼女はそれを見送ってから中へと入った。
「あぁ、疲れたぁ。」
そう言って荷物を部屋へと持って行き、端の方へと置いた。
それから耳に着けていたイヤリングを外し、あの引き出しの中へと入れたのであった。
―もう嫌…。こんなになるまで引っ張り回されるなんて…。やっぱり…この中が一番なのかもねぇ。もう疲れちゃった…。―
アクアマリンはそう言うと、スヤスヤと寝息をたて始めた。
周囲の宝石達がそれに安堵したのは、言うまでもないだろう。
また明日から、いつもの毎日が帰ってくるのだ。
それを思うと宝石達は、仕方ないと言った風に重苦しく深い溜め息を吐いたのであった。
このことをアクアマリンには、どうか…内密に願いたい…。
end...
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