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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十二話 決勝戦その三

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「あそこの人なのよ」
「そうなんだね」
「あそこはいいところよ」
 池田さんは函館についてはだ、しみじみとした口調になった。
「私も一回家族の旅行で行ったのよ、小学生の時に」
「海の幸が凄いんだよね」
「烏賊に鮭に海胆、蟹にね」
 その全てがだった。
「凄くいいのよ、それで海鮮丼食べたけれど」
「その海の幸を全部乗せた」
「鮭からはイクラ、海胆、蟹よ」
「豪勢だね」
「おかずは烏賊の姿焼きと鮭のお刺身だったのよ」
「余計にいいね」
「ホッケもあったし」
 話を聞いているだけで涎が出そうになった、どれも大好きだ。函館は本当に美味しい海の幸が多いと思う。
「よかったわ」
「凄く楽しめたんだね」
「札幌、小樽もよかったけれど」
「函館はだったんだ」
「その中でも一番よかったわ。ラーメンもスープカレーもね」 
 こちらの北海道の食べものもというのだ。
「よかったわ、チーズもメロンもね」
「池田さん北海道好き?」
「大好きよ」
 真顔での返事だった。
「就職は北海道にしたい位よ」
「じゃあ応援している球団も」
「阪神だけれどね」 
 こちらは違っていた。
「日本ハムって思ったでしょ」
「うん、北海道だから」
「あそこ親会社は本社大阪じゃない」
「そういえばそうか」
「野球はそうだけれどね」
「それでも北海道は好きなんだ」
「ええ、本当に就職は北海道にしたいわね」
 心から入れ込んでいる言葉だった、どうやら池田さんは北海道の味に心から虜になってしまったらしい。
「それも出来ることなら函館よ」
「あそこにいて海の幸をなんだ」
「楽しみたいわ、それでその人はね」
「函館の人なんだ」
「函館の荒熊って言われてるわ」
「熊?」
 熊と聞いてだ、僕はその相手の人を見た。細面ですらりとした長身で足が長い。黒髪は後ろで束ねていて和風美人な感じだ。
 その人を見てだ、僕は言った。
「あの人熊に見えないけれど」
「まあ北海道だから」
「北海道だからなんだ」
「それで熊なのよ」
「北海道っていったら確かにね」
「熊でしょ」
「日本ハムも熊だしね」
 そのマスコットの動物はだ。
「それでなんだ」
「熊って言われてるのよ」
「それも羆だね」
「ツキノワグマとは違うのよ」
 何かザクとは、という感じだった。池田さんの今の言葉は。
「あそこの熊はね」
「大きくて凶暴なんだよね」
「物凄い事件も起こったから」
「ああ、羆嵐っていう」
「知ってるのね、大家君も」
「うん、開拓村が襲われたんだよね」
 実際にあった事件だ、それも北海道で。
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