第四十二話 決勝戦その一
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第四十二話 決勝戦
日菜子さんは決勝進出を決めた、僕達はこのことを素直に喜んで戻って来た日菜子さんに明るい笑顔で話した。
「やりましたね」
「遂に決勝進出ですね」
「後はゆっくりと休まれて」
「決勝に挑んで下さい」
「ええ、ちょっとね」
緊張がほぐれてほっとしたお顔でだ、日菜子さんは僕達に答えてくれた。
「休ませてもらうわ」
「はい、どうぞ」
「遠慮なくです」
「休まれてそのうえで」
「次の試合に」
「そうさせてもらうわね」
日菜子さんは控えの場所に座ると目を閉じて寝る様にして休憩した。僕はその日菜子さんを見てそのうえで池田さんに言った。
「よくわかったよ」
「休憩のことね」
「ああして今みたいにね」
「そう、試合の後はね」
「緊張をほぐして休む」
「そのことが凄く大事なのよ」
池田さんは僕に話してくれた。
「次の試合までね」
「そうだよね、ゆっくり休むことが」
「相手の娘はね」
「確かに天才だったけれど」
「多分ああしてね」
「休んでいなかったんだね」
「それに元々スタミナが少なくて」
そのこともあってというのだ。
「そのうえでだったから」
「休まなかったから」
「ああして体力と精神力を消耗して」
「疲れが出たんだ」
「疲れも出たら」
それで、というのだ。
「動きにも影響するでしょ」
「確実にね」
「だから禁物なのよ」
「疲れを溜めることは」
「バスケでも言われるでしょ、休める時は休め」
「うん、言われるよ」
試合中は常に緊張していないといけない、さもないと怪我をするとだ。僕は顧問の先生にいつも強く言われている。
「休憩の時はね」
「じっくり休んでね」
「次の試合や練習に備える」
「だから日菜子先輩も休んでおられるのよ」
「そういうことだね」
「けれどあの娘は多分そのことをまだ知らなかったのよ」
その相手の娘を見ての言葉だ、見れば負けても泣いていない。とても悔しそうな顔だけれど正面を向いている。
「休憩の時も気を張り詰めていたのよ」
「だから余計に疲れて」
「それが勝負に出たのよ」
「そういうことなんだね」
「そうなの、けれど」
「それでもだね」
「日菜子先輩はそれが出来ていたから」
休むべき時に休む、言うと簡単だけれど絶対にしないといけないことをというのだ。
「勝てたのよ」
「疲れていなくて」
「緊張をほどかれてお身体も休まれて」
「それがよかったんだね」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「あの娘かなり気が強くもあるわね」
負けた相手の娘を今も見ての言葉だ。
「負けたけど泣いていなくてね」
「顔も下がっていなくてね」
「背筋もしっかりとしていて」
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