第6章 流されて異界
第123話 四ジゲンと五ジゲンの間にある物
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な離れが有るとか、その陰鬱とした土地には昔からの言い伝えが有ってとか――
どんどんと妄想が膨らんで行く阿呆は放置に限る……のだが、しかし、
「おい、ハルヒ」
取り敢えず、密室殺人とか、猟奇殺人事件と見せかけた何らかの邪神を呼び出す為の生け贄の儀式とか、などと、とてもではないがクリスマス・パーティからかけ離れた妄想を口走り始めた阿呆を現実の世界に引き戻す俺。
コイツに取ってはどうでも良い事なのでしょうが、俺は未だ食事中。食欲を失くすような発言は慎んで貰いたいですね。
……本当に。
軽く、心の中でのみ悪態を吐く。そして、
「お前の中の俺がどんな人間か知らへんけど、福引で一等を狙って当てる事が出来るようなびっくり特技は、現実の俺は会得していないぞ」
……と続けた。
もっとも、福引で一等を当てるのは、実はそんなに難しい事ではない。やろうと思えば出来ない事ではないレベルの術式。
別にガラポン抽選機が術に対する強い耐性が存在する訳ではなく、更に、周囲に居るのは魔法に関係していない一般人だけの可能性が高い。このような場所ならば、割と初歩的な術で目当ての物を引き当てる事は出来るでしょう。
但し、これは反動が出る。おそらく、無理矢理に歪めた因果律が何処か別の段階で俺か、もしくは俺の周囲の人間に対して何かの不都合を生じさせるのは間違いない。
俺の場合は、自分自身が少々不幸に見舞われるぐらいならば何とも思わないのですが、周囲の人間に対して不幸を撒き散らせる訳には……。
何よ、使えないわね。……そう現実の言葉で一言文句を言った後、
「そんなのやって見なくちゃ分からないじゃない」
要は気合いが足りないのよ、気合いが。……などと、ダメなスポーツ指導者にありがちな精神論を口にするハルヒ。確かに、今回の場合は精神論が基本となる魔法の世界の技術でどうにかなる物なのですが……。
ただ……。
「お前、どうしても温泉旅行に行きたいのか?」
一応、それまでの飯を食いながら、などと言うテキトーな対応などではなく、真顔で確認を行う俺。
何故ならば、ハルヒの能力は王国能力。もし、彼女が本当に温泉旅行を願うのなら、それを無意識の内に叶えて仕舞う可能性がある。
但し、この世界には彼女が能力を行使する事を望まない組織がある。ここは多種多様な生命が存在している世界。そう言う世界でハルヒが唯一絶対の存在――神だと言う訳ではない。一人、そう言う特殊な能力を持つ人間が居るのなら、二人目、三人目が居ない訳はない。
そうでなければ世界は面白くない。
おそらく、今、表面上は無風状態のように見えるのは、俺や万結、それに日本の裏の世界ではそれなりに名の通った綾乃さんや和也さんがこの件に絡んでいるので
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