暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第123話 四ジゲンと五ジゲンの間にある物
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だから、少しは強引に成っても良いと思いますよ」

 涼宮さんの場合は。小悪魔の笑みを浮かべてそう締め括る朝倉さん。しかし、今まで、朝倉さんは俺の味方……と言うか、有希の味方で、その付属物として俺を認識しているのだと思って来たのですが……。
 これは――

「長門さんや万結に関しては、料理の腕を磨きたいから、と言う目的があるから俺の弁当を作って来てくれている、と言う事は理解出来ているのか?」

 明らかにハルヒを煽っている。確かにハルヒ自体がへそ曲がり故に、この程度の煽りで動き出すとは思えないけど、もし、彼女がこの言葉を真に受けて行動に移した場合、俺は基本的に押しに弱いので――

 しかし、当のハルヒはと言うと――

「あたしは別にそんな事がしたかった訳じゃ――」

 今は俺の状況を見る余裕さえない雰囲気。この感じならば、明日、明後日の間にハルヒが弁当を作って来る、などと言う事はないでしょう。その二日を乗り切れば、二十一日は土曜日。その日から二十三日までは三連休となり、二十四日は終業式。

 そうか、後少しでクリスマスか……。
 ハルケギニアではそんな日の事など忘れていただけに、この世界の平和を改めて感じる俺。もっとも、この世界が取り立てて平和だ、などと言う訳ではなく、ハルケギニアの状況が不穏で有り、且つ、俺自身の置かれた立場と言うヤツが、のんべんだらりと怠惰に過ごす事が許されない立場にあった、と言うだけの事。
 ……事件が起きて居て、且つ、事件が起きて居る事に気付いた場合。更に、その事件を解決するだけの能力が有る場合に、その事件を放置して仕舞っては、俺の所属する洞統の戒律に違反する事と成ります。

 為政者が解決……人間レベルで解決出来る問題。例えば、無知などから発生する貧困や飢餓。主義や主張の食い違いから発生する戦争などに、直接、大規模に関わる事は禁止されていますが、ハルケギニアで起きて居る事件の裏側には、何モノかの介入を窺わせる部分がありますから。
 人の力だけではどうしようもない、危険なモノの存在が――

「所で、SOS団としてのクリスマスの予定はどうなっているの?」

 私は従姉妹と二人暮らしで、従姉はクリスマスには用事が有るらしいから、割と暇なんですよね。
 俺が少し意識を別の方向に泳がせていた瞬間、唐突に話題の転換を行う朝倉さん。
 もっとも、完全に違う話題、と言う訳ではなく、一応、先ほどまでの話の流れをトレースしているのは間違いない。

 彼女は、俺が有希の部屋で暮らして居る事に、薄々感付いているみたいですから。スタートラインで出遅れているのに、冬休み開始直後のクリスマスに何のイベントも用意しなければ、そのままお正月もスルーとなる可能性が高く成り……。
 次に顔を合わせるのは正月が終わっ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ