第十五話
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…」
しかし、はたしてそううまく行くんだろうかという不安の方が大きかった。ネガティブな考えは良くないって教わったんだけど。
「あいつがどの程度ダメージを受けていたか、実際のところはわかんないけど。でも、ヤツはあの場所から逃走しようとしてたよね。ターゲットである君を置いて。……体勢を立て直すために一時退避をしたのかもしれないけど、やはりダメージは深刻だったんだと思う。実際に戦った俺がいうのも何だけど、かなりのダメージを与えてたはずだと思うからね」
「ふむ。だとするならば、すでに次の宿主を求めて移動しているわね」
王女の言葉には不安な気持ちが伴っている。
「そうならしばらくは安心だ。学区エリアには深夜は殆ど人がいない。……寄生する対象がいないってことになるよね。だったら……」
俺は僅かばかりの期待を持った。
宿主が存在しなければ、ヤツは寄生することは出来ないってことだから。
「寄生する対象を求めようともいないというわけね。もしも宿主を求めるとすれば人が訪れる朝以降というこになるわ。……ヤツが宿主から離脱していたなら、それまではどこかで息を潜め宿主たりえる存在が来るのを待たざるをえなくなる。そしてわたし達は、ヤツが宿主を取り込む前に見つけ出し破壊する作戦を選択する」
「……」
俺は何も言えなかった。王女の作戦は成功するとは思えなかったから。
ごくごく小さな根っこが宙を舞い、人に寄生する瞬間を押さえるなんてできるとは思えなかった。対象を特定できないかぎりは不可能なことなんだ。学校にはいったいどれほどの生徒がいると思っている? 教職員まで含めたら相当な数になる。
その個人個人がどんな考えを持ち、どんな欲望を抱えているかなんて誰にも解らない。
サイクラーノシュの寄生根のターゲットが誰かを予想するなんてできっこない。
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