第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
18話 死を描く狂気
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それでも、念のために妙な誤解だけは払拭しておく。
現状を整理すると、先程のヒヨリとアルゴの言葉にもあった《俺も狙われている》という言葉が一つの契機となっている。街中で肩を叩いてみたり、それなりにアピールされていたからこそ、自分が監視されているという可能性も視野に入ったので、それに乗ってみただけの事だ。どちらにせよ、地道な捜索に乗り出すのだって困難が付き纏うのだから、多少は型破りな賭けに出ても悪くはないと割り切って、思い切ってカマをかけてみただけ。
それに、仮にアルゴ達を追跡した場合は、圏内にそのまま引き連れてもらって無力化してしまうという腹積もりだった。PKである以上、危害を加える手段が大きく制限されるエリアに入ってしまえば、それこそ《決闘》システム等の直接的な行動に出なければならなくなる。レイ達に接触されたという最悪の事態も考えられたが、今回はその場合になってしまっていたら諦観も已む無しという思い切りをもっての決定だった。その為に、別働隊として動いてもらうために嘘まで吐いたのだが、敵を欺くなら先ず味方からという事にしておいてもらおう。
「なるほどぉ、さっきの女の子達が貴方のお仲間ですかぁ〜。両手に花っていいですねぇ………アナタも良い題材になってくれそうですよぉ」
「題材?」
「えぇ、《題材》ですぅ。わたしはこう見えてもですねぇ、物語を考えるのが趣味なんですよぉ。だからですねぇ、いろんな人に見せてもらうんですぅ。その人の最期の瞬間を、ねぇ?」
ピニオラは口角をゆったりと持ち上げ、恍惚とした表情をつくる。顔のつくりが良いだけに蠱惑的にも見えるが、先の発言と相俟って酷く悍ましい。
「それが人殺しの動機か?」
「そう言われてもピンと来ないんですよねぇ。わたしはただ、キャラクターになってくれる人に声を掛けて出演してもらうだけですよぉ? 『お宝を手に入れるぞ〜!』って夢や希望に胸を膨らませた人達がぁ、た〜くさんのモンスターに囲まれてぇ、どんなドラマを見せてくれるのかを楽しみにしてるだけなんですぅ。仲間を切り捨てて自分だけ助かろうとしてもいいですしぃ、逆に仲間を助けようとして死んでいくのも堪らないですよねぇ。人が生きるために苦悩する瞬間がぁ、人生の最期に凝縮されていると思いませんかぁ? ………でもぉ、誰でも良いっていうわけじゃないですよぉ? だからぁ、いろんな人を下見させてもらったんですぅ。苦労しましたよぉ? おもーい鎧を着たりぃ、アイテムで声を変えたりぃ」
「………あのPTはお前のお気に入りだったわけか」
「ぱーてぃ? ………あぁ〜、あの女の子だけの〜。良いですよねぇ〜、仲良しでぇ、みんなで依存しあっててぇ〜。ど〜しても壊してみたくて堪らなくってぇ、も〜即決でしたよぉ。だからぁ、教えてあげたんですぅ。偉そう
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