第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
18話 死を描く狂気
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在だ。死んだ人間を供養するのにアインクラッド産のアイテムってのも品がないだろうけど、お供え物くらい買って回りそうなもんじゃないか?」
「そ、そこまで聞き出したのカ………」
「正直なところ、こっちは会って伝えるだけだ。ただ、街で買い物をした後に森に入れ違いで来られたらどうしようもないからな。軽い保険のつもりで見てきてくれ」
「………分かった、頼んだゾ」
二人が踵を返して街に戻っていくのを見守る。ヒヨリは俺を見遣るような仕草をしていたが、一回だけ頷いて見せると、終始何も言わずにアルゴに付いて行った。多分、考えていた事を勘付かれたのかも知れない。しかし、決してヒヨリを信用していないからアルゴに同行させたという事は断じてない。上手くいけばどう転んでも事態は動く。あくまで引っ掛かればの話だが。
「………かくれんぼも飽きただろ。いい加減出てきたらどうだ?」
問いかけは周囲の空気に伝播し、空しく余韻を響かせる。鳥の囀り、木々の騒めき、風の音、フィールドにおけるBGMたるそれらのサウンドエフェクトが俺の奇行ともとれる挙動を嘲笑うかのように過ぎ去ってゆく。
「………これでもぉ、隠蔽スキルにだって自信はあったんですけどねぇ〜」
そして突如、茂みを掻き分けて全身をローブで覆った人影が現れる。間延びした喋り方が気になるが、フードを外して見せた顔は女性のものだった。《スキル》という用語を使用した以上はプレイヤーであることには間違いないだろう。世界観の不一致に抵触する単語をNPCは罷り間違っても口にしない。
加えて、隠蔽スキルを使って追跡してきたという言質すら取れてしまった。アルゴの索敵にも感知されなかったところを見ると、常軌を逸した熟練度ということが窺える。信憑性のない情報を継ぎ接ぎしたような推論であったのに予想外に程があるものの、釣れてしまった以上は腹を括る他ない。
「でもぉ、貴方すごいですよぉ〜。ど〜してわたしが付けて来てるってわかったんですかぁ?」
「女の勘だ」
「………え、男の子だと思ってたんですけど………でも、確かに可愛い顔ですねぇ〜………っと、申し遅れましたぁ。わたしは《ピニオラ》って言いますぅ。あ、自己紹介は結構ですよぉ。お名前は別に問題じゃないですもの〜」
否定しないのか。SAOにおいてPKという行為はそのまま殺人に結びつくのだから、ある程度その疑念が向けられたと思えば抵抗を見せてくるところだろうに、女性プレイヤー――――ピニオラは未だ笑顔を崩さない。PKが関わっているという推測は正しかったと捉えるべきか、はたまた意味を認識していないだけか。しかし、彼女がレイ達の拠点から出た直後に接触してきた事は間違いないだろう。
「俺の勘じゃない、相棒と友人のだ」
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