第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
18話 死を描く狂気
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テム的な難易度の逆算もシナリオからのパターン予測も出来ない。両名に気に掛けられている通り、危険な状態なのかもしれない。
「とにかくだ。今は俺の心配なんかしなくていい」
事実、真に危険に晒されているのは彼女達に他ならない。さっきの体験も踏まえれば、得体の知れないスキルというより、絡繰の掴めないPKと結論を出す方がずっと信憑性が高い。そんな下らない理由で死んでほしくもないし、彼女達は死んではならないのだとさえ思える。むしろ生き続けなければならないのではないか。そうでなければ、リーダーの死が無駄になってしまう。
別に面識があるわけでないにも関わらず、ただ仲間を生かすだけに戦った彼女の戦果を無に帰すような真似だけは絶対にしたくはなかった。同情でもなく、感傷でもなく、ただ、そうしなければならないような気がした。見逃して、取り返しのつかない結果になれば、恐らく、俺はどうしようもなく悔やむ。当然、ヒヨリも俺以上に重く受け止める。アルゴ自身も言わずもがなだろう。こんな世界に囚われていながらも、それでもなおリスクを度外視して行動しようと思えるあたり、俺もまだ真っ当な人間性が残っているのかも知れないと思えた。
やがて大樹を下り、エルフの本来の出現エリアである森の奥地を目指す。集めた情報から順当に考えて、レアアイテムを求めているのは想像に難くない。しかし、これでは情報が不足している。第三層の大半を占めている《迷い霧の森》において、エルフが生息しているエリアというだけでも十分に広大なのである。加えて、木々や濃霧に遮られた劣悪な視界の中での捜索はティルネル同様に困難を極める。すると、捜索するべきは彼女達が走ってきた方向を遡ってゆくしかないだろうか。
「………いや」
捜索に思案する最中、記憶を今一度精査すると、ある点に思い当たる。
「アルゴ、ヒヨリ、街に戻ってくれないか?」
「どうしたの?」
「あのPTがこの森以外に立ち寄りそうなところを思い出しただけだ。ヒヨリにはあいつらの拠点を見張ってくれ。アルゴにはこれから言う場所を回ってもらいたい」
「………オイラ、そんな情報は初耳だけどナ」
「アルゴ、お前はあいつらの部屋の中に入ったことあるか?」
「そ、そりゃ無いに決まってるダロ?」
レイ達と出会った地点よりやや奥まった、切り立った渓谷に沿った場所で立ち止まり、訝しむアルゴに向き合いながらマップデータを開きつつアルゴに問いかける。苦しい解答を漏らすアルゴを余所に、データに幾つかのマーキングを施して手渡す。データは第三層に留まらず、アクティベートされている全階層の主街区に及ぶものだ。
「生前、あのPTでリーダーと慕われていた人物が好んでいたと思われる嗜好品アイテムを取り扱っているNPCショップの所
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