21部分:第二十一章
[8]前話 [2]次話
第二十一章
沙耶香はその日は気を調べることに専念した。学校の至る所であの赤紫の気を調べた。
「やはり高等部だけね」
一通り調べてそれがわかった。
「あの気が感じられるのは」
それと共に心の中である疑念が生じた。
「そしてその気が感じられた時」
出会った一人の人物のことが脳裏に浮かんだ。
「そしてこの人形」
それがまた沙耶香にあることを教えていた。
「全てが繋がったのかしら」
だが確信は持てない。沙耶香はさらに気を探ることにした。
やはり気は高等部にしかない。そしてそれが感じられる場所も限られていた。彼女は今密かに敵の尻尾を掴み、その主を押さえようとしていたのであった。
翌日その気が感じられた場所を歩いて行く。一つずつ調べ、中にも入る。だが何処にも確かなものはなかった。
「教室、教会」
一つずつ調べて行く。
「そして職員室。後は」
最後の一つに近付いていた。
「ここね」
そこは部室であった。あの人形部の部室である。
「私の予想が正しければ犯人は」
もうおおよそのことは感じていた。
「間違いないわね。では入るとするわ」
そう言って壁に手を当てた。そのままズブズブと入って行く。
そして部屋の中に入った。気を探るとここが一番強かった。それも尋常なものではなかった。
「隠しているつもりだったけれどあまりにも強くて隠しきれなかったようね」
沙耶香はその赤紫の気を感じながら呟いた。
「本気で調べたら。すぐわかったわ」
そう呟きながら棚に向かう。
その棚を開ける。目的は先日真由子が見せてくれた人形達である。どれもあのシスターデリラが作ったあの人形達だ。そこに秘密があった。
「ここにあった筈ね」
棚を開ける。そして中を覗いた。
だがそこには何もなかった。人形も何もかもがなかったのであった。
「気付かれたみたいね」
沙耶香はその何もない棚の中を見て呟いた。
「やってくれること、相手も」
そう言って微笑んだ。だがこれで犯人は誰かわかった。後は解決するだけである。彼女は部屋を後にして自身の気配も消した。これでこの日は捜査を終えた。
「終わるのですね」
「ええ」
そして理事長室において理事長と絵里に話をした。二人はそれを聞いて思わず声をあげた。
「それはもうすぐです」
「手懸かりを見つけられたのですね」
「はい」
沙耶香は答えた。
「確実なものを。後は犯人を取り押さえるだけです」
「犯人は一体」
「それは事件を終えてからお話させて頂きます」
だが彼女は犯人については今は言おうとはしなかった。
「今は。お話するわけにはいきません」
「私達に対してもですか?」
「申し訳ありませんが」
彼女は言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ