第1章 光をもとめて
第5話 桃色の巨凶
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」
「う、まぁ 御贔屓にしてもらってる、と言うより 儲けが無かった場合も最低限度の給料は国が払ってくれてるから……」
儲けが無ければ普通は給料カットとなる所だが、それなりの成果を上げている葉月は、その辺は特待してくれているのだ。
勿論、イカサマだろうけれど。
「……そして、この城内で勤務している。カジノが始まる夜をだ」
「え、ええ。そうだけど」
「なら、 この子の事、知らないか? ヒカリと言う名で この城内に攫われたみたいなんだ」
そう言うと、写真を見せた。葉月は、神妙な顔をしながらも、写真に目を移す。
「ん……、知らない。ほんとだよ?? 知らない……」
知っていれば、ちゃんと話す事は判る。何故なら、自分自身が掛かっているのだから。このイカサマがバレてしまえばどうなってしまうのか、それが直ぐに判るから。
「だろうな。なら、次だ。……怪しい人影とか、見なかったか? この辺りで。この子をさらったのは、忍者らしくて、な。……馬鹿正直に女の子を担いでここに来るとは思えない」
「え、え、……にん……じゃ……? ぁ!」
葉月は、何かを思い出した様に、口を開けた。
「そ、そう言えば、何日か前、ここの外のおおきな木で、何か影が動いたんだった」
「ん……」
「で、鳥かな? って思ったんだけど……、あっという間に消えちゃって、それで 一番東の窓が開いて……それでも、何も見えなくて お化けが出たっておもっちゃって、そこからはみてないんだ」
気味が悪そうに話す葉月。
有力な情報だ。そして、その忍者が向かったであろう先についても把握する事が出来た。
隠密で動いているのであれば、大手を振って城内を歩き回れる筈が無い。故に最短距離で到着する場所に主がいるのであろう。
その後、正確な場所を葉月に教えてもらうユーリ。どの窓から入ったかを。
真偽については、100%とは言えないが、嘘を言っている様子も無いし、言える様な状況でも無い事は判っている。
「いい情報をどうも」
「い、いや、礼を言われる程じゃ……、あの、その…… このことは……」
「ん? ああ、あのルーレットの件か」
ユーリは、思い出した様に頷くと、軽く笑った。
「……まぁ 何も言わないでおこう。ただ、もうやめておけよ。オレじゃなくても、見破る奴はごまんといる。……で、良心の呵責があるのなら、騙した人たちに謝る事だな。別に強制ではない」
ユーリはそう言うと、背を向けた。
「(ほっ……、アイツが入ってきたら、すぐに変えられる様に替え玉を用意しとかないと……)」
「後、そうだ」
「うひゃい!? な、何?」
突然、ユーリが振り返って、驚き声が裏返ってしまった。それを見たユーリは、にやりと笑う。
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