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黒魔術師松本沙耶香  人形篇
19部分:第十九章
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「はい、御願いします」
「わかりました。では今日は彼女に関する捜査を中心にやらせて頂きます」
「そこで何かがわかればいいですが」
「わかればいいではありませんね、この場合は」
 沙耶香はその張りのある声で言った。
「掴むのですよ、その何かを」
「その何かを」
「お任せ下さい。尻尾は必ず掴みます」
 その目が鋭くなっていた。
「必ずね。では今日はこれで」
「はい」
 一礼した後で部屋を後にする。理事長はそんな沙耶香の後ろ姿を見送って言った。
「怒っておられますね」
「怒っておられる」
「はい。自らのプライドを傷付けられて」
 理事長にはそれがわかっていた。
「おそらく御自身がおられる時に事件が起こったことにプライドを傷付けられたと思っているのでしょう」
「そうなのですか」
「それだけ本気になられたということでもあります」
 そしてこう言った。
「本気になられたあの方の御力、期待させて頂きましょう」
「わかりました」
 沙耶香には二人の話は届いていなかった。だが彼女が本気になったのは事実であった。まずは昨日話したグラウンドに向かった。
 そこではもう授業がはじまっていた。生徒達が元気に動き回っている。
「確かこの辺りね」
 そのグラウンドを見回しながら呟いた。
「昨日会って話をしたのは」
 おおよその場所はわかっていた。その辺りを調べていた。


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