飛鳥-ダイナ-
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しげにシュウを見下ろしていた。彼の体は傷だらけだった。すぐ医者に診てもらわないと。
男はシュウを担ぎ、歩き出した。
彼の服装は、カラーリングは大きく違うが、シュウがたまに着こむナイトレイダーの隊員服と質がよく似ていた。
胸のエンブレムには『GUTS』と刻まれていた。
「シュウーーー!!」
戦いが終わると同時に、テファたちは直ちにシュウを探した。シュウが無理な意識を持ったまま戦いに挑んでいたことは知っていたが…
(だからといってあんなにこてんぱんにされるとは思いもしなかったね…)
マチルダは嫌な汗が流れるのを感じる。
あの、もう一人のウルトラマンが現れなかったらどうなっていたことだろう。想像したくもない未来を浮かんでしまう。あの黒い巨人が見逃してくれたのか、戦いを挑まずに去ってくれたのは運がよかった。でも、アルビオン軍もここの調査に乗り出してくるに違いない。
軍の連中が来る前に今のうちに彼を見つけここから直ちに退散せねば。
「はあ、はあ…」
だが、子供たちを連れての強行軍はきつく、着いてきた子供たちはシュウのいるやもしれない地点に着く前に息を切らしてしまった。
「心配だからって無理しちゃって…テファ、悪いけどあんたはここでチビたちと待ってな。あたしがすぐにあいつを見つけ出してくる」
「で、でも…」
いくら口論したとはいえ、心配にならないはずがない。テファもシュウの様子をすぐにでも確認しておきたかったのだが、体力的に劣る子供たちを一緒に連れてきたのでは難しかった。
「いいから、あたしに任せ…」
「その必要はねえぜ」
マチルダの言葉を遮る形で声が聞こえてきた。
とっさに振り向くマチルダたち。すると、振り向いた方角から男がこちらに向かって歩いてきていた。背中には、自分たちが探していたシュウが担がれている。
「あんたは!?」
マチルダは警戒し、杖を抜く。
「安心してくれ。俺は敵じゃない」
男は温和に話しかけてきたが、彼女はすぐに信用することはなかった。
「信用ならないね…。その子を人質に何かよからぬことを企んでるってこともあるからね」
裏の世界で生きてきたからこそ、その恐ろしさがわかる。いい人キャラを演じて自分を追いと仕入れようとした輩と何度も遭遇してきた。テファという自分の守るべき人がいなかったら、きっと自分もそいつらと完全に同じ色に染まっていたことだろう。
「じゃあ…」
男はシュウを背中から下ろして自分の目の前に下ろして一歩下がった。マチルダはディテクトマジックで魔法を使った罠がないかを確かめる。反応はない。ならもっと別の罠は仕掛けられていないか?恐る恐る近づき、意識のないシュウの体に指先で触れてみる。何も起こらない。抱き起して何か怪しいものが張り付いていないか確かめてみるが、そう言ったこともなかった。
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