飛鳥-ダイナ-
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シュウやテファたちの身に事件が起きている間、サイトたちは魔法学院にて夏季休暇期間の時間を潰していた。
だがサイトもゼロも、無論ルイズもこの一時の平穏が近いうちに崩れ落ちることを勘付いていた。
だからこそなのか、この一時の平穏を少しでも安らかにすごして、次の危機に備えておこうと思っていたのだが…。
「…………」
ルイズは不機嫌だった。学院に戻ってきてからずっとのこ様子だった。
「大丈夫かハルナ?まだ熱下がってないって言ってたもんな」
「だ、大丈夫…だんだん楽になってきているし」
ハルナは未だに体調不良で体が弱っているというのだ。慣れない環境下だから体調を崩してしまった彼女だが、病気だからとはいえ知り合いが一人もいない街に残したままではかわいそうなので、一度学院に戻ることが決まった二人と共に連れて帰ることになったのだ。
そのハルナを連れて帰ってからと言うもの、未だに病状が改善しないハルナは学院勤務の平民用宿舎のベッドで泊めてもらっている。ハルナにとってもサイトにとっても、二人はこの世界でただ一人の故郷以来の知り合いなのだ。周りの環境が自分の暮らしていた頃とはまるで違いすぎると、互いに依存したくなるのは当然のことだ。
しかしそれでも、ルイズには面白くないことだ。なにせ、自分の使い魔が他の女といちゃいちゃ(少なくともルイズとシエスタにはそう見える)しているのが気に食わないのだから。
「ちゃんとご飯は食べてる?そういや、もう昼飯食った?」
「まだだけど…平賀君は?」
「俺もまだ食ってなくってさ。なんかルイズの奴、いきなりごはん抜きとか言ってきてさ」
「ええ!?なんでですか!?」
ハルナが納得できないと言わんばかりにルイズを見ると、そのルイズはというと不機嫌さを募らせているままだ。
「な、なんでって…それは、そう!サイトが他の女の子にいちいち色目を使っているせいよ!」
「なんでそうなるんだよ!俺いつも通りちゃんと仕事こなしてたし、別に何もなかったじゃねえか!」
「ふーん、どうかしらね…」
必死に正当な弁明を繰り返すサイトだがルイズは怪しんだままだ。事実サイトは戻ってきてからルイズからの雑用をちゃんとこなしている。なのになぜかルイズはというとご機嫌斜めなままだ。
まあ別に飯抜きについては気にしない。シエスタがおいしい賄いをくれるからだ。納得できないのは、なぜか恨まれる理由がないのに恨まれていると言う理不尽さに、だ。
ハルナにはルイズの機嫌がここ数日損なわれている理由を理解している。そしてそれは鈍感なサイトにはわからないことだ。
要は…相変わらずの嫉妬。学院に戻ってきてからは、ルイズからの雑用の合間に、サイトはちょくちょくハルナの様子を見に来ていたのだ。自分を気遣って見舞いに来てくれるサイトの存在が、ハルナにとってどれほど嬉しい
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