受難‐サクリファイス‐part2/ネクサスVSゼットン
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況を見て呟く。地下水は、長年の戦いの記憶をある程度は覚えているようだが、ここまでメイジがあっさり敗れた様を見たのは初めてのことだった。
ふと、シュウはじゃり…と足に違和感を覚えた。足元を見ると、何かが転がっている。拾い上げると、それはロケットペンダントだった。ハルケギニアでもこういったものは存在しているらしい。蓋は開かれている。ペンダントの中には貴族の令嬢と思われる少女が描かれていた。年齢は、自分よりもやや年下に見えるが、誰かが落としただろうか。
「うぅ…」
うめき声が聞こえる。半壊したすぐ近くの民家の中からだった。声をたどってシュウはその民家に入ると、天井の崩れた居間の中央に、死んだと思われる竜と、それに乗っていたと思われる竜騎士の青年が竜の死体の上に倒れている。
「ま、まだ民間人がいたのか…」
その青年は、ヘンリーだった。伝令を送った後すぐに軍に合流してゼットンと交戦していたが、あっけなく返り討ちにあったものの、運よく助かっていたようだ。
「っ!お前、どこでそれを…」
民家に入ってきたシュウに気づいたヘンリーは、シュウの手に握られているロケットペンダントを見て目を見開くと、それに引き吊られるように、シュウの手から奪い取らんとする勢いで近づいて手を伸ばしてきた。しかし、大怪我をしていたこともあり、シュウの持ってるペンダントを奪う前に倒れこんでしまう。
シュウは直ちに、怪我で苦しみ悶えるの元に近づき、地下水をホルダーから取り出す。それを見てヘンリーは顔をこわばらせた。彼の手に握られたナイフを見て、思わず殺されるのではと言う予感がしたのかもしれない。だがシュウは構わず地下水を握ったままヘンリーに近づく。
「地下水。彼を治せ」
「は、はぁ…」
「何か文句か?」
「いえいえ、すぐに」
どうしてこいつを助けるのだろうとでも思ったのだろう。でも一々理由を尋ねて答える義理を持とうともしないシュウの言葉に乗せられたプレッシャーに圧され、地下水はすぐに『ヒーリング』の魔法を唱える。
「傷が……何だそのナイフは!?まさかマジックアイテム…?」
傷が治っていく。それも、変わった格好こそしているが見たところ平民と思われる男によって。驚くヘンリーを他所に、シュウはいつもどおりの態度で接する。
「これは、あんたの落し物か?」
しばらくして治癒が完了し、シュウはヘンリーにペンダントを渡した。
「他の仲間を治して、ここから退いた方がいい」
赤の他人から治癒を受けたことに戸惑うあまり、ペンダントを受け取る手の動きがややぎこちなくなったが、よほど奪われたくなかったものらしく、ヘンリーは徐にシュウからペンダントを返してもらった、
「助けてくれたこと、このペンダントを返してくれたことには礼を言うが、僕たちはアルビオン軍だ!アルビオンの民と国を守るために…」
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