受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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俺はこの少女を死なせたくない。手を握る力を強めた、その時だった。
「…あ…」
「見て…テファ姉ちゃんの傷が…!」
さっきまで弱々しく、粗かったテファの呼吸が、だんだんと落ち着いたものになって行った。同時に、彼女の体のやけども引き始めている。
「ここまで治れば、あとは大丈夫みたいだね。明日までゆっくり寝かせておこうか」
「う、うぅぅ…よかった…よかったよぉ…」
子供たち、その中でもエマやサムが特に涙を流してテファが無事峠を越したことを喜んだ。
「シュウ、ありがとね。あんたのおかげだよ」
「……いや」
気にするなとは言うが、内心シュウは礼を素直に受け取れなかった
「…っと、安心してる場合じゃなかったね。さっきの追手が来ると面倒だ。すぐに飛ばすよ。テファを起こさない程度に、ね」
シュウとマチルダもホッと一息を着いて腰を掛けた。が、すぐにマチルダは我に返るように立ち上がり、馬車の運転席に腰を掛け、馬を直ちに走らせ彼らを乗せた馬車はウエストウッドの森から駆け出した。
「…村、燃えちゃったね」
エマが、記憶の中でだんだんと小さくなっていく村の跡を、荷台から見ながら切なそうに呟いた。それを少し離れた所から見て、サムはマチルダのとなりに座っていたシュウに向けて口を開いた。
「ごめん、兄ちゃん、僕が馬鹿だったよ。僕のせいで姉ちゃんたちまで…」
自分の非を改めてわびてきたサムに、シュウは首を横に振った。
「いや、今回の一件の原因は俺にもある。奴は、俺を狙ってきていた。サムが俺に対してよくない感情を抱いていることも、俺がこの村を拠点としているのを突き止めていた」
シュウはそう言うと、ぎゅっと拳を握った。
「…済まない。俺のせいで…村を」
「なんで兄ちゃんが謝るんだよ…兄ちゃんの方が、頑張ってたのに」
頑張った?いや…だめなんだ。頑張った程度じゃ…。シェフィールドの奸計を乗り切り、テファを再び救うことができたのはよかった。だが、結局皆と共にこの村を離れることになってしまった。
だが、俺が奴に狙われたせいで、皆を巻き込んでしまった…。
あの村は、ここで生きた彼らにとってのただ一つの居場所だった。それを、虚無だのなんだとのとわけのわからないことを抜かしてきたどこぞの陰気な卑怯者に奪われてしまったこと、この小さな村を守れなかったこと……ウルトラマンである使命に従った結果としてテファたちを危険に巻き込んでしまった自分に対して、シュウは心の中で激しい憤りを覚えていた。
そして…。
――――俺と同じ血の臭い
脳裏によぎるメンヌヴィルの言葉。ムカデンダーとの戦いで怒りを爆発させた自分の獰猛な戦い方と…
――――ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
自分とは思えなかったほどの、ほとばしる咆哮。
シュウは拭
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