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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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イドシューターを取ると、その銃口をナイフの刀身に向けた。
「ちょ、ちょっと待て待て待て!!マジで俺を折るの!?」
「どうした?寧ろ折ってもらった方が助かるんじゃないのか?」
「い、いいのかよ…あんたらだけじゃ治療の魔法は使えないんだろ?もし俺を折っちまったらそこのお嬢ちゃんを治すことは…」
「………」
しかしシュウは虚無感に満ちた目でナイフを見下ろしていた。引き金に触れている人差し指に力が入り始めている。やばい、こいつ本気だとナイフは焦った。
「わわわわわかったよ!!!手伝います!手伝いますから!!」
口では命など惜しくないと言ってた割に、いざ殺されかけると生存本能に駆られて命乞い。脅される側としては典型的なタイプだったようだ。
「最初からそうすればよかったものを…面倒な奴だ」
シュウは手間をかけさせられため息を漏らすも、これでティファニアを治すことができたことでほっとする。
「強引だねぇ…皆、真似はしないようにね」
ナイフさえも容赦なく脅す。まあ自分でも同じことをしていただろうと、マチルダは苦笑いを浮かべていた。子供たちにもこんな手口は使わないようにと警告をとりあえず入れておいた。いや、まだ安心するには早かった。
ナイフから治療魔法の呪文を教えてもらったシュウはナイフを右手で逆手に持ち、左手を馬車の荷台の床の上に寝かされたテファの真上にかざす。
「イル・ウォータル…デル…」
すると、青い水の波紋のような光がテファを包み込んでいく。
「本当に魔法が…!」
メイジは愚か、魔法の存在しない世界から召喚されたシュウでも、魔法を扱うことができるとは、マチルダは目を丸くしていた。
戦場の中、散弾や地雷によって死んでいく、女子供を含めた数多くの人々の姿。自分の腕の中で雨に打たれながら眠りについた少女。何度も蘇る過去の記憶を通して、シュウは苦痛に顔を歪ませながら、テファの手を強く握った。
(ティファニア…!!)
こいつは、最初は警戒を露わにするあまり敵意さえもむけてきた自分に手を差し伸べてきてくれていた。騙されやすくて単純…いやそれ以上に、真水のように純粋すぎて、その上自分のような男にさえ手を差し伸べてくる優しい少女。
そんな彼女が言った何の罪を生かしたと言うのだ。罪を犯していないと言うのに、ハーフエルフ…畏怖されている種族の血を引いているからって迫害され、しまいには自分のような人間のために命を張ろうとした彼女がなぜ傷つく必要がある?狙われる必要がある?
地球だろうが異世界だろうが、どうしてこの世はこうも理不尽なのだ。
俺はいつまでこんな展開を繰り返せばいい…!!
俺はどうなったって構わない。でも…彼女だけは…助けたい。彼女のような人は絶対に守らなければならない。
平賀が確実に死ぬはずだった皇太子に対してやってのけたように、
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