受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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に等しいという認識があった。自分には、はじめから選択肢などない。だから、従うしかない。これはヘンリー一人に限った話ではなく、今のアルビオン…いや、レコンキスタに疑いを持つ者なら全員に該当することだった。
たとえ…次の瞬間自分たちの身に、どれほど夢であって欲しいと願うほどの斬ごくな現実だとしても。
「…!?」
アルビオン兵たちの顔が、驚愕に染まる。
円盤の中から、音が聞こえてきる。何かを殴っているような音だ。もしやと思い、ヘンリーたちは円盤に注目する。
突如、円盤の天上が開かれたのだ。そして中から青い球体が現れ、まるで風船のように膨れていく。やがて青い球体は針をつきたてられた風船のように破裂し、その中から姿を黒い人型の怪物が姿を現した。
「な…!!」
二本の触覚のような角と、全体を占める黒いからだ、白い両腕両足。そして、最後に顔に埋め込まれている発光体。
プロロロロロ…
その怪物は、至って穏やかのようにも思えた。変わった泣き声を挙げているが、突っ立っているだけで何も仕掛けてこようとしていない。
「な、何だよ脅かしやがって…まあいいさ。作業を続けるぞ」
一瞬その怪物の静かな動きに脅威を感じたが、杞憂と判断したそのアルビオン兵は再び杖を振るい、その怪物を運ぶためにレビテーションを掛けなおそうとしたそのときだった。
「……」
その怪物は両手から、三日月状の波を描く光線を放ち、アルビオン兵たちに襲い掛かってきた。
「うああ!!」
次から次へと、放たれ続けていく破壊の光。
「うぎゃあああああ!!」
光線は光刃となって分裂し、無差別に襲う光の刃が、残酷にもアルビオンの兵たちの体を切り裂き、草原を真っ赤に染め上げていく。
「!」
その刃は、ヘンリーにも襲い掛かってきた。このまままっすぐ行けば、いずれ彼の体さえもばらばらに切り裂いてしまう。が、間一髪のところで現場指揮官の男が飛び出し、彼を突き飛ばすことでヘンリーはその脅威を免れた。しかしその対価として、指揮官は両足を切り裂かれ、もぎ取られてしまった。当然、彼は草原の上に倒れこんだ。
「隊長!」
「ぐ…に、逃げろヘンリー!この事態を街に知らせろ!」
「し、しかし!!」
ヘンリーは前述で説明したとおり、逃げることを選択肢として選ぶことができなかった。だが、彼を庇った上官に続いて、話を聞いていたほかの仲間たちが口々に叫んだ。
「さっさと行け!お前はロンディニウムへ向かい応援を呼べ!」
「これ以上被害が及び、ここで貴様まで死んだら、誰がこの事態を伝えるんだ!」
「アルビオンのためにも、応援を呼びに行け!!」
「…!!」
ヘンリーは苦痛に顔を歪ませながらも、彼らの気迫に押されたこともあり、直ちにその場から背を向けた。去り行くヘンリーを守るべく、彼の仲間たちは黒い怪物が放ってくる光
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