受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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彼の選んだ道を覆すような事態が起きるとは、このときのシュウは予想さえもしていなかった。
「あれが、輸送物?」
地下実験施設の看取を勤めていたアルビオン兵たちに与えられた、ある巨大な物体の輸送。
現場は、アルビオン大陸の街シティオブサウスゴータの南の平原地帯。しかしそこに集められた、現場に着いたアルビオン兵たちは困惑していた。
平原の中央にできたクレーター。その中央にあるのは、ハルケギニアでは作れそうにない鉄製の大型円盤が転がっていた。
どうやら宇宙空間での円盤同士の争いの際、アルビオンに落下していたようだ。そしてシェフィールドが部下の誰かに、あの円盤の回収を命令し、ここに至る。あの円盤の中身は一体何なのだろう。
「一体、何だあの円盤は」
すると一人の、ちょうどサイトたちと同じ年齢に見える若い将校が、クレーターの中央に落ちた円盤を見下ろしながら呟く。
「さあな、ともかく迂闊に近づくなよヘンリー」
同僚と思わしき兵がヘンリーと呼ばれた青年に警告を入れる。まだあの円盤の中身が何なのかわからないうちは、どんなに小さな手も出さない方が安全だ。
「これを放置したままでは邪魔だが、同時に何かの研究素材となるかもしれん。放置すればいずれ再開されるトリステインへの侵攻作戦、または迎撃作戦の邪魔になる。
今から部隊を編成。円盤の調査に向かう」
「「「了解」」」
早速アルビオン兵たちは円盤の周囲に散る。ある者は竜に乗って空中から見渡し、ある者はそのまま地上から円盤を囲み、最後に指揮官が数人ほどの部下を連れて、慎重に円盤に近づく。
「総員詠唱!!」
念のため、いつでも攻撃できるよう指揮官の指示でアルビオン兵たちがいっせいにそれぞれの得意魔法の詠唱を開始する。
(全く…ここしばらくおかしなことばかりだ)
ふと、アルビオン兵の若者、ヘンリーは自分が近づいている円盤を見ながら呟く。ここ最近のアルビオンはおかしい。兵たちの中でも、今の体制に疑問を持つ者が増えてきていた。聖地の奪還を名目に、怪獣というトロル鬼やオーク鬼とは比較にならない人外を擁し、王党派の者たちや無関係な街や村の者たちを虐殺して権力を手にした者たちが上を占める、貴族派ことレコンキスタ。そして勝者に輝いた自分たちこそが正しいと信じて疑わない大半の仲間たちや上官たち。
ヘンリー・スタッフォードは、何かの歯車が狂い始めているのを察し始めていた。だが、自分はあくまで一人の兵でしかない。自分がこの軍に不満を抱いたところでどうにもならない。まして、この軍に逆らったら、自分の家と家族にどんな影響を及ぼすかわからない。
(そんなこと…許されない)
国のために戦って、死ぬ。貴族にとってそれは最上の名誉であり絶対に遵守しなければならないこと。それを捨てることは貴族としての誇りを捨てること、そして死
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