受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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フを持ったせいで、僕なんだかおかしくなって…」
「よくわからん、簡潔に話せ」
一体サムが何を言いたがっていたのか、シュウは落ち着いて順序よく彼から話を聞くことにした。
どうやらそのナイフはサムがガーゴイルから与えられたもので、持った人間がたとえメイジでなくても、系統魔法を扱うことができるようになると言う、魔法の使える貴族と使えない平民の隔たりのあるこの世界においても常識はずれのアイテムだと言う話だった。
「けど、そのナイフをもってから、僕おかしくなったんだ。よくわかんないけど、自分が自分でなくなったような…」
「いわくつきのマジックアイテムってことか…」
マチルダもこんなタイプのマジックアイテムと巡り合うのは初めてだった。土くれのフーケとして活動していた頃だったら、これを適当に売りさばいてやれたかもしれないが、サムの話を聞く限り、こいつの呪いのようなものに取りつかれそうでその気さえも起きない。
「だが、こいつを使えば魔法が使えるってことか…」
しかし、シュウはその話を聞いて興味を沸かせた。魔法が使える。それならば、治療の魔法を使ってティファニアを助けることができるのではないか?
シュウが、ナイフに手を伸ばそうとした時だった。マチルダの手が伸び、シュウの手を詰めた。
「あんた、何安易にそのナイフに手を伸ばしてんだい!下手こいたら、今度はあんたが操られるんだよ!たとえさっきのガーゴイルがいなくてもね!」
「姉ちゃんの言う通りだよ。僕が言えた義理じゃないけど危ないよ!」
彼女とサムは懸念していた。確かに水魔法が使えたらティファニアを助け出せる。あいにくマチルダは水魔法が使えないから、このナイフに頼りたくもなっていたが、このナイフはサムを狂わせていた呪いのアイテムだ。
「…だが、こいつがなければティファニアを助けられない。こいつ以外に、治療ができるものなんかなにもないだろ?かといってあんたがこのナイフを使ったところで同じことだ。今度はあんたが操られるぞ。サム、もちろん経験者であるお前とてな」
「そうは言うけどさ…」
だからって易々とこのいわくつきあのアイテムに頼るか。しかし、シュウは続ける。
「俺はまだこの世界のやり方にはなじみきれていない。俺とあんた、どっちが犠牲駒になるかと言ったら、この世界が地元のあんたの方が残った方が適している。元はよそ者の俺よりはな」
「……わかった。ただし、危なくなったら、無理にでもあたしがなんとかする」
ここで言い争っている間にもティファニアが危ないのだ。たとえ本来治療すれば助かるはずの傷でも、治療もせず放っておいたら命がなくなるなんてこともある。マチルダは自分の負けを認め、シュウのナイフの使用を許可した。許可をいただいたシュウはナイフをベルトから引き抜く。
瞬間、ドクン!と心臓の鼓動が一瞬だけ激し
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