受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
[20/23]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
よ旦那。今までそうだった。最近じゃ尻の青いクソッタレなメスガキ王女の命令に従ってまして…」
「王女?」
最近になって聞きなれ始めていた王女と言う単語に、シュウは反応しベッドに預けていた体を起こし地下水を見る。
「そういえば、貴様と貴様のバックについている奴のことを尋ねていなかったな。単刀直入に聞くが…」
気になっていた奴といえば、あの時村を襲ったガーゴイル、ムカデンダーを操っていた女のこと。この大陸では伝説的存在とされている虚無を知っている、そして自身とシュウたちもまたそれに連なる存在だと知っていた。故に、村を襲った。奴はいずれ自分たちに再び牙を向いて来ると容易い想像がつく。
「あのシェフィールドとか言う女は何者だ?」
「…今更隠しても将もないですし、まあええでしょ。あいつは…」
それから地下水はシェフィールドについて自分の知りうる限りの情報を与えた。すべてを聞き終えると、シュウはそのわずかに眉間にしわを寄せる形で、その鉄火面のように無表情な顔を歪ませた。
「ち…敵は、ビーストだけに留まらないということか」
だとすると、余計に自分は戦うことを止めるべきではなくなってしまった。こればっかりは、いずれ平賀にも伝えた方がいいかもしれない、とシュウは頭の中に刻み込んだ。
「にしても…あんたみたいなタイプ、何度か見たことがあるな」
ふと、地下水が違うことを言い始める。
「あ?」
「真っ先に死に向かっていく。早死にするタイプだな。こりゃ、あんたの道具として活躍する時間は短そうだな」
「……」
地下水の、せっかくの退屈しのぎがわずかな間しか持たないことへのため息混じりな言葉に、シュウは何も言わなかった。
早死にするタイプ…か。
テファは戦うことを止めるように勧めてきてくれた。それは彼女の優しさだし、それはありがたいものではある。だが、シュウはそれを受けなかった。…いや、受け入れるわけには行かなかった。たとえシェフィールドとその背後で息を潜んでいる敵がいなかったとしても。
(俺に戦うなだって?そんなことが許されるわけが無い…だって、俺は…)
そこまで心の中で言いかけたところで、彼は天井に向けて右手を掲げる。
―――自分を大事にできない人に、一体何が守れるって言うの!?
テファの言葉が脳裏を過ぎる。
自分を大事に?それこそおかしいじゃないか。戦うものにとって、自分を大事にしろだなんて無理がある。どこか出からなず怪我はするし、下手をすれば死ぬ。下手に情を出しても意味はないし腕が鈍る。
このままでいいんだ。このままで…俺は自分以外の誰かのために戦っていればいい。その果てに自分が死ぬ定めだというのなら、それもかまわない。
他の何かのために自分を捨て、戦う。
それだけが俺に許された、たった一つの道…。
しかし、近いうちに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ