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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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ウは言葉を返したくなった反面、返すべき言葉が見つからなくなった。テファを黙らせるような言葉が何も浮かんでこない。すぐにぱっと浮かぶはずの言葉が浮かびもしない。唇をかみ締めると、マチルダの手をそっと下ろさせ、彼は席から立ち上がって部屋の出口に向かった。
「シュウ!」
「…そろそろ降りよう。チビたちが待ちくたびれている」
引き止めようとするテファの声を背中に受けながらもそれを受け流し、彼は一足先に階段を降りて行った。
「……」
残されたテファは、寂しそうな視線を向けるばかりだった。しばらくの沈黙の果て、ようやくテファはベッドから降り、閉ざされた口を再び開いた。
「シュウの、馬鹿ッ…!!」
シュウへの怒りをわずかに吐き出して、彼女は降りて行った。マチルダはさらに深いため息とシュウに対する呆れを覚えざるを得なかった。
(やれやれ、女心のわかんない奴だねぇ…)
自分がまだ盗賊だったことがテファには明らかじゃないように、もしかしたらあいつもまだ何かを隠しているのだろう。テファが以前見たと言う、シュウの荷物の中にあった写真。それに写る少女や元の世界の仲間と思われる人物たち。
その秘密がわからない限り、おそらくシュウは、心の底から自分たちと打ち解けることは無いのだろう。
(でも、いい加減そろそろなんとかしないと、こっちから契約破棄にしかねないよ?)
階段を見ながら、そこを降りて行ったシュウに対して届かない警告を告げ、テファを追うのだった。


一切テファとも、それどころか誰とも言葉を交わさなくなったシュウは、自分用に用意された一室のベッドに体を預け、天井を仰いだ。
「……」
「あのー…」
声が聞こえる。地下水の声だ。彼は今、ディバイドシューターとのセットでテーブルの上に置かれていた。
「何か用か?お喋りナイフ」
「『地下水』ッスよ!まあそれはとにかく…俺、これからどうなるんすか?」
地下水と言う名前からしておかしいのに、妙にこだわってくる。いや、流石におしゃべりナイフなんてアホらしい呼び名は嫌だったと思うべきか。
「俺の武器として働いてもらう。変なアホの手に渡って悪用されたらたまったもんじゃないからな」
「はぁ…まぁいいんすけどね。長生きしてきたあっしにとっちゃ、いい退屈しのぎにはなりそうし、命さえ助けてくれるんならいうことは聞きまっせ」
シュウに従うことへの抵抗は、思いのほか早く取っ払っていた。
「そいつはよかったな。せいぜい働いてくれ。だが、逆らったら砕くからな」
「へーい…」
やっぱ俺はこの人から手綱を握られてしまっていたか。と地下水はちょっと絶望感にもうちしがれた…ようでそうでもなかった。
「思ったほど嫌そうにしてないんだな」
「あんたに逆らえないってのはわかったし、俺ぁ人生そのものが退屈しのぎ同然だったんす
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