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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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「…と、今はあんたのことだったね」
マチルダはそのまま部屋に入ってきて続けてきた。
「テファの二度目の単独行動についても言いたくなることはあるけど、あたしからすればその発端はあんたのやり方にあると思うんだよ」
「……」
その通りかもしれない。シュウが戦うことを選ばずに大人しくしていれば、テファは彼を心配して危険な場所に飛び込もうとはしなかったかもしれない。
「姉さんも、知ってたんだね…シュウのこと」
「ああ、本人から口止めされてたけど、ばらされていたか…」
事実ではあるが、おそらく村を襲った奴から、とマチルダは仮定した。自分が盗賊だったことまで知れるのも、時間の問題かもしれない。あいつは自分が土くれのフーケだったことを知っていた。いずれテファにも自分のことが知れ渡るかもしれない。シュウが知られたくなかったように、この事実も隠しておきたいが。
「シュウ、テファの言うとおりだよ」
ジロッとシュウを見ながらマチルダは警告を入れた。
「テファの使い魔としての契約を結んだあんたはテファを守ることを仕事のうちとしているんだよね。その何が何でも仕事に忠実なところは立派だとは思うさ。あたしたちも契約の元に、テファを守ってくれって頼んだようなものさ。
けど、同時にあんたは無茶しすぎ。人知れずどっかに飛んでいっては戦ってボロボロになって」
人知れず飛んでいって戦う。マチルダの証言でテファは理解した。時々シュウが姿を見せなくなる時があったのだが、それは自分たちのあずかり知らぬところにわざわざ飛んで、あんな怪獣と戦い続けてきたことに気づいた。
「今回は変身できなくても行かなくちゃ行けないからって、怪獣に単身で突っ込むのは無謀さ。死んだら元も子もないんだよ。死んでかっこつける貴族のつもりでいる気はないって言ってたじゃないか」
マチルダは二人の元に歩み寄り、左手でテファの、右手でシュウの手にふれ、優しく笑みを浮かべながら言った。遂にテファにばれてしまっていたし、正直シュウの無茶な戦いの連続に臨む姿勢が、遂に無視しきれなくなっていた。
「テファのためにも、あんた自身のためにも約束しておやり。無茶はもうしないって。二人で約束」
「………」
「シュウは、この世界に来てからも、ずっと一人で頑張って来たんだよね…でも、もういいの。シュウは頑張ったよ」
すると、今度はテファもまた彼に向けて言葉をかけてきた。
「そうだわ、アルビオンを出たら私たちと一緒に静かに暮らそう?村を襲った人たちも、うまく逃げ切れば私たちを追いきれないと思うし。今度はきっと…」
元々自分たちの都合で異世界などと言う場所に連れてきてしまった。この世界のために彼が傷つく通りはない。
静かに暮らす、か。戦いに明け暮れていたシュウにとってそれは甘美なヒビキにも聞こえてきた。もう戦う必要は無い。
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