受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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空の下で、大規模な火事に見舞われていた。以前見たものと良く似ていた。そう、あの時も翼を駆る化け物が、あざ笑いながら地上に向けて破壊の光を吐いて建物を破壊し、炎に街を包んでいった夢と。
けど、今回彼女が体感している世界は底に存在しているだけでそれ以上に重く、苦しいプレッシャーのようなものを感じさせられる。
炎の中から、誰かが姿を見せた。彼女にとっても見覚えのある人だった。
特徴的な黒い頭髪。黒い上着の下に隠れた赤いシャツ。そんな変わった服を着たのは、同年代の男とはほとんど話したこの都内彼女にとって、『彼』以外にありえない。この炎の中は危険だから早く逃げろというために、彼女は彼に近づいた。
しかし、元々は近寄りがたい雰囲気を出していた彼が、このときはそれ以上、いや比較にならないほどの雰囲気を出していた。
それでも勇気を出し、彼女は彼に近づいて名を呼ぼうとしたときだった。
突然爆発が、彼女の目の前で起こり、彼を包み込んだ。その炎の中に彼は包まれてしまう。少女はその炎から身を丸めて守ることしかできなかった。
すると、ズシン!!と地鳴りが鳴り、彼女は思わず顔を上げた。彼の姿はすでに無かったが、同じ場所に巨大な黒い足があった。その足をたどって顔を上げると、少女は酷く青ざめた。以前彼の夢の中で見た、翼を持つ化け物の非ではない。もっと恐ろしい存在…その存在そのものがこの世の負の部分で占められているかのような絶対的恐怖を催す存在がそこにいた。
それは、黒い巨人だった。それも前進真っ黒の巨人。巨人は少女の方を振り返ると、獣のごとき雄叫びを上げ、その威圧感を周囲にほとばしらせた。
「…!」
妙な夢を見て、その果てに目を覚ます。どこかでも体感したシチュエーションだ。
テファは最後の光景を見た衝撃と同時に目を覚ました。
「テファ姉ちゃん!」
「きゃ…!」
彼女の目覚めと同時に、エマがテファの胸に飛びついてきた。
「エマ、そんな飛び掛ったらダメよ!お姉ちゃんがびっくりするでしょ」
「あう…」
今のエマの不意打ちで、案の定テファはびっくりしてすっかり眠気が覚めてしまった。エマはサマンサから注意を受け、渋々ながらもテファから離れた。
起き上がったその場所は、見慣れない建物の一室のベッドだった。
「ここは?」
「シティオブサウスゴータの宿だ。一度まともな宿を取って補給と薬の調達のためにここに来た。とはいってもすぐに出立する予定だけどな」
テファはその声を聞いて、部屋の扉の方へ目を向ける。そこには、すでにシュウが壁に背中を預けた状態で立っていた。
すぐに出立する理由、間違いなくここはマチルダの故郷だからだ。マチルダにとってこの街は苦い過去の思い出の場所。長く留まりたくはないだろうし、取り潰された家の令嬢など、マチルダがフーケじゃなかったとして
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