受難‐サクリファイス‐part1/襲来!最強怪獣
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示した。
「指輪…?」
シュウは首を傾げた。見ると、確かにテファの右手の中指に、台座に宝珠をはめ込んだ指輪が着けられていた。初めて会ったあの日にもつけていたものだ。この指輪がどうかしたのだろうか?
「その指輪は、治癒の力を持っているんだ。テファの母親…奥様がこの子にプレゼントしたものさ」
「魔法の指輪…ということか」
「ああ。この指輪は、恐らくエルフが独自で用いる治癒の先住魔法の力を秘めてるんだ。けど、あたしは使い方を知らないし、この子にしか使えないんだ」
「だめかぁ…」
自分のアイデアではテファを救えないことにジムは残念がった。
「だったら早く街のお医者さんに診てもらおうよ!」
「待って…!姉ちゃんは、ハーフエルフだろ。エルフはハルケギニアじゃ…!」
「あ…!!」
続いて放たれたサマンサの意見にジャックが反論する。
そうだ。テファには外見からしてわかりやすい特徴があった。小説などでもたびたび見かけるエルフの特徴である、先の尖った長い耳だ。しかもハルケギニアにおいてエルフは、大陸に布教されている宗教の関係で邪悪の使途扱い。今まで村から彼女を出さなかったからやり過ごせてきたのだが、これからはそれさえも難しくなる。あのシェフィールドとかいう女のせいで、もうウエストウッド村にはいられないのだ。
「いや、だったら…医者を脅してでもテファを治させてやるだけだ!このまま放っておいていいはずないだろ!」
「そんなことしたら目を付けられちゃうよ!」
「だったら姉ちゃんをこのままにしておくってのか!?」
ついに子供たちはテファをどうするかで言い争い始めた。どちらにせよテファをこのままにしておけない者同士。かといって自分たちが無理に医者を脅すなんて真似をしたらそれこそ街の衛兵に目を付けられ、アルビオンを脱出することも難しい。ウルトラマンの力で飛行すればいい?能力の無駄遣いだし、あのシェフィールドとかいう女が黙って見逃すわけがない。
「みんな、言い争ってないで今はテファの…!!」
「うぅ…ひっく…」
マチルダが必死で子供たちをなだめ、その中でエマがテファの傷ついた姿と子供たちの剣幕に押されて泣きだしていた。
これではテファの容体が悪化するばかりだ。現代科学の治療ならまだ間に合うかもしれないが、あいにくここはそんなものが存在していないし、それに匹敵するだけの医療技術がいかなるものなのか、そもそも存在しているのかさえもシュウは知らない。しかも前述のテファの出征がらみの理由などで、彼女を医者に診せることは叶わない。
打つ手なしか…!!
「あ、兄ちゃんそれ!」
サムが、シュウに向けて指差してきた。その指先が向けられていたのは、ベルトに括り付けていたナイフだった。
「ナイフが、どうかしたのか?」
「それ、僕が持ってたナイフだよ。でもこのナイ
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