17部分:第十七章
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どうでしょうか」
「凄いわね」
口ではこう褒めたが心の中では別のことを考えていた。
人形を見ていることは変わりがない。だが彼女は今その美しさを見ているのではなくその顔と姿を見ていたのであった。そして何かを探っていた。
服はそれぞれ違う。また髪型も。だが顔はどうなのか。見れば見たような顔ばかりであった。
「色々と作る先生なのね」
「はい」
真由子は明るい声で答えた。
「凄いですよね、これだけ色んなお人形を作られて」
「そうね」
それに応えたがやはりその心では別のことを考えていた。
(似ているわね)
人形の顔を見て心の中でこう呟いた。
「何かあったのですか?」
真由子は沙耶香があまりにも人形達の顔ばかり見るので奇妙に思った。
「お人形さんのお顔ばかり御覧になられてますけど」
「綺麗だからね」
沙耶香はこう答えて誤魔化した。
「どの人形の顔も」
「そうでしたか」
それを聞いて安心したように笑った。
「そうですよね、本当に綺麗な顔ばかりで」
「そうなのよね。よくこんな風に作れたわ」
関心したような声を出した。だが心の中では全く別の言葉を言っていた。
(これが本当に作ったものならね)
「それでですね」
「ええ」
「今度新作が出来るそうなんですよ」
「新作が?」
「また可愛らしい女の子のお人形さんらしいんです」
真由子は無邪気に喜びながら言った。
「楽しみですよね、どんなのが出来るのか」
「そうね」
無機質な声で返事をしたが真由子はそれには気付いてはいなかった。
「また出来たらお知らせしますね」
「お願いするわ」
そう言って席を立ち上がる。
「もう帰られるのですか?」
「もう少しお邪魔していいのかしら」
真由子の方を振り向きながら尋ねる。
「どうなのかしら」
「私の方は構いませんが」
顔を赤くして応える。昨日のことを思い出したのだ。
「けれどもう時間が遅いわよね」
「はい」
残念そうに頷いた。
「もうすぐ皆が来る時間です」
「だから仕方がないわ。今日は御免なさいね」
「また。いらして下さいますよね」
「ええ」
沙耶香はは頷いて答えた。
「きっとね。それでいいかしら」
「それじゃあその時またお話させて頂きます」
「宜しくね。楽しみにしているわ」
「はい」
こうして部屋を後にした。沙耶香は廊下を歩きながら人形の顔を思い出していた。同時に失踪した少女達の顔も思い出していた。
(やっぱり似ているわね)
彼女は頭の中で人形の顔を少女達の顔をスライドさせていた。
(どういうわけか)
次にあの妖気のことをシミュレーションさせた。次に朝に人形部の窓から見えた影を。こうして考えていくと一つのことに思いが至るのであった。
(怪しい
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