第39話 光の先へ進むあなたへ
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何かあってもおかしくはない。
そんな事を考えていると、急に不安になった。
俺は大切に思う人間を不幸に陥れる。
そうを思うと、不安は余計に募って行くばかりだった。
時計の針が動く音がやけに大きく聞こえる気がした。
「‥‥‥‥‥‥よし!」
俺はついに決意した。クローゼットの中から
黄色いレインコートを引っ張り出した。
それを着ると、靴箱の中から長靴を取り出して履いた。
『心配だから、会いに行こう!』
それが、俺がついさっき決めたことである。
俺はドアノブに手を伸ばそうとした。
しかしその瞬間、俺の脳裏にある言葉がよぎった。
『外に‥‥出ては‥‥いけない‥‥‥外に‥‥出た‥‥‥瞬間‥‥から‥‥
最悪の‥‥未来が‥‥始ま‥‥って‥‥しま‥‥う‥‥ん‥‥だ‥‥‥‥‥』
夢の中で村長が最後に放った一言だった。
しかし、それはあくまで夢の中での話で
現実には関係ないはずだと、幼かった俺は
あまり深く考えなかった。
『大丈夫だよね‥‥‥きっと‥‥‥‥‥‥‥』
頭の片隅で自問自答しながらも
ドアノブを回してドアを開け外に出て
嵐の中、しっかりと鍵を閉めてから
父さんが修理を頼まれた場所へと向かって行った。
**********
ガタッ! ガタガタッ!
家の窓ガラスが嵐の風に揺らされ
ガタガタと大きな音を立て続けている。
「後は配線を繋いで‥‥‥‥‥終わりました」
父さんは固定されたハシゴに乗って、家の壁に
取り付けられた配電盤を一応、雨対策に透明なカバーで覆って
その隙間か手を入れて、道具を使い修理をしていた。
「いやぁ、いつも助かるよ」
「いえ、仕事ですから」
この家の主にお礼を言われると、父さんは笑顔でそう答えた。
父さんはバッグに道具を全て入れ込むと続けた。
「さっきまでは風だけでしたが、そろそろ一雨降るかもしれません。
早く家に帰らないと、娘が待ってますので」
父さんはそう言って、急いで帰ろうとすると
家の主である男は父に声をかけて呼び止めた。
「それなら、雨宿りついでに昼メシぐらいまかなわせてくれ」
「いえ、でもそんなに世話になるわけには‥‥‥‥‥」
「良いから良いから。ささ、早く。妻の料理はなかなかウマいぞ」
父さんは半ば無理矢理に家の中まで連れてかれていった。
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