暁 〜小説投稿サイト〜
鎧虫戦記-バグレイダース-
第39話 光の先へ進むあなたへ
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と、それは以外にも
あっさり受け入れることが出来た。

「アスラ、制御は出来そうか?」

迅が少し遠くから声をかけて来た。
そうだ、今なら岩の崩落を考えずに二人を救えるのだ。
アスラは今は崩れずに止まっている岩に右手をかざした。

 ガラ‥‥‥‥ガラガラ‥‥‥‥

岩はさらに少しずつ上に浮き始めた。
ゆっくりとバラバラに浮き始めた大量の岩。
その中から、黒い大きな影が見えた。
ホークアイがジェーンを抱えていたのだ。
岩に潰される前に何とか二人を救出することに成功した。

「‥‥‥良かった‥‥‥‥‥」

アスラはホッと一息ついた。
浮いている二人のところまで何とか
迅が移動して、二人を抱え上げた。

「よし。アスラ、もう大丈夫だ」
「分かった」

 フッ‥‥‥‥‥ ガラガラガラガラッ!!

アスラが右手を下げると、浮いていた三人と岩に
急に重さが戻り、岩は地面に音を立てて落下した。

 スタタタッ!

そして、三人は地面にしっかり着地した。
迅は抱えていたホークアイとジェーンを地面に下ろした。

「二人は大丈夫なの?」

マリーは心配そうな顔をして言った。
ホークアイは背中の傷以外は大丈夫そうだが
ジェーンのダメージはかなり酷かった。

「うぅ‥‥‥‥ハッ!」

ホークアイは急に起き上がった。

「何で外にいるんだ‥‥‥‥」

彼は頭を押さえながら言った。
若干ながら酸欠の影響が出ているようだ。

「ハッ!ジェーン!!」

思い出したようにそう叫んだ。
隣に倒れたジェーンを見たからである。

「迅!ジェーンはどうなんだ!!」

ホークアイは迅に訊いた。
しかし、迅の表情は曇ったままであった。

「心臓の拍動も呼吸もとても弱いんだ」

迅のこめかみを汗が流れた。

「だが意識が戻れば‥‥‥‥まだ希望はある」

全員はただ静かにジェーンを見守っていた。



    **********



俺は燃え上がる炎を見ていた。ただその場に立ち尽くして。
焼けるように痛む左肩を右手で押さえたまま。
町も、建物も、人も、全てが焼き尽くされて行く。
どうして、何故こんな事になってしまったのだろうか―――――――――――――



「お父さん遅いなぁ‥‥‥‥」



そうだ、俺は家で帰りを待っていたんだ。
嵐の吹いている中、修理に出かけた父さん。
机に突っ伏したまま、時計の針と睨み合っていた。
しかし、針は自分の与えられた使命を守り
一秒ずつ決められた間隔で時を刻んで行った。

「もうすぐお昼になっちゃうよ‥‥‥‥‥」

もしかしたら父さんに何か事故があったのではないか。
この嵐の中なら、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ