第39話 光の先へ進むあなたへ
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とした。
スウ‥‥‥‥
しかし、アスラの手は彼女の掌を通り抜けた。
「ダメよ、これはあなたの記憶から作られた仮そめの身体。
あなたがこの世界の真実に気付いた今、接続は切られた。
あとは、このまま消えていくだけ」
しかし、泣いているアスラの前で彼女は笑っていた。
「でも、息子との最後の記憶が泣いてさよならなんて嫌じゃない」
そう言いつつも、目からは涙が溢れて来ていた。
アスラも涙を止める事が出来なかった。
「だから‥‥‥‥‥笑ってさよなら」
そうつぶやくと、彼女は光と帰した真っ白な
何もない方向を見ながらつぶやいた。
「‥‥‥‥‥あなたがそうなのね。アスラを、息子をよろしくね」
その様子をアスラは不思議そうに見ていた。
「母さん、何を‥‥‥?」
「ううん‥‥‥‥何でもないわ‥‥‥‥」
彼女は身体を翻した。
スカートがふわりと大きく膨らんだ。
「さぁ、みんなの所に行ってあげて」
アスラは最初は動くことが出来なかったが
ついに意を決して、光の世界の向こう側へと走り始めた。
「母さん!ありがとう!!」
振り向いてそのことを伝えると
再び前を向いて、走り始めた。
それを見送りながら彼女はつぶやいた。
「あなたには、私が力を貸してあげる。
もう二度と会えないかもしれないけど
お父さんみたいな、強くて優しい人になってね―――――――――」
そうつぶやき終えると同時に
彼女の身体は光の世界へと消えていった。
「ハッ!!」
ガバッ!
アスラは顔を上げた。今度はいつの間にか伏せていたからだ。
向こうの世界から帰って来たので、この体勢に戻ったのだろう。
アスラがそんな事を考えたのは、それから随分あとの事だった。
「こ‥‥‥‥これは‥‥‥‥‥‥‥?」
アスラは目の前の光景を見て驚いた。
「うおお、か、身体が‥‥‥!」
リオさんは突然の出来事に驚いていた。
「宙に‥‥‥‥‥浮いてる」
さすがの迅も顔があきらかに動揺していた。
何と、周りにいたみんなが宙に浮いているのだ。
それだけではなく、崩れていた岩も、その周囲に
迅とリオさんが投げ捨てた岩も、全て浮遊していた。
「うわぁ〜、すごいよアスラ!」
マリーは嬉しそうに笑顔で言った。
今はまだ無意識な発動のようだが分かる。
「これが‥‥‥‥‥オレの"超技術"‥‥‥‥‥‥‥‥?」
アスラは土の付いた掌を眺めながらつぶやいた。
使えるようになってみる
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