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鎧虫戦記-バグレイダース-
第39話 光の先へ進むあなたへ
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「あ‥‥‥すか‥‥‥‥‥明日香(アスカ)‥‥‥?」

知らない。聞いたこともない名前だった。
だけど、この顔は知っている気がする。
それが何故なのかはアスラにはわからなかった。

「あなたは私を知らないかもしれないけど
 私はあなたの事をとても良く知ってる」

そう話す彼女の表情はとても嬉しそうだった。
しかし、アスラの中の疑問は未だに解けていない。

「迅さんは素敵な人よね。始めに見た時は
 大怪我をしてるのかと思ってびっくりしちゃったけど」

多分、顔の右半分の火傷の痕の事だろう。

「大人で、でも時々子供っぽくて。
 それでも、戦う時の姿はとても勇敢で」

アスラは迅の剣を振るう姿を思い出していた。
豪快に見えて正確に振るわれる長剣。
昔から、迅の戦う姿を見るのは好きだった。

「それに頭も良くてね。あ、でも
 私の夫の方が何倍もすごかったけどね」

その言葉から、彼女には夫がいることが分かった。
こんな綺麗な人なのだから、きっと素晴らしい夫なのだろう。

「そう言えば、クレアさんとハロルドさんは元気?」

それを聞いた瞬間、言葉が詰まった。

「‥‥‥‥わからない。二人はロシアに残っていて
 それ以来会ってないから。でも、マリーの話では
 元気にはしているらしいけど」

アスラは若干うつむいてそう答えた。

「‥‥‥‥‥‥二人が心配?」

明日香はアスラの顔を覗き込みながら訊いた。

「‥‥‥‥心配してないって言ったら嘘になる」

ロシアにはアーロンさんとレイラさんがいて
"鎧虫"も凍り付くほどの極寒の国とはいえ
絶対に安全であるとは言えないのだ。
"衛兵"クラスの"侵略虫"が来れるのだから
"将軍"クラスが来てもおかしくはない。
それが不安要素だったのだ。

「‥‥‥‥二人はね。あなたが思っているよりずっと強い。
 だから、きっと大丈夫よ」

彼女は微笑みながらそう言った。
この顔だ。この表情が引っかかるのだ。
だが、頭の奥で霞がかっていて分からなかった。

「私も夫にはラブラブだったけど
 二人には敵わなかったなぁ、フフフ」

彼女は口元を押さえて笑った。
そして気付いた。彼女が誰に似ているかが。

「‥‥‥‥‥オレの友達のマリちゃんに似てる‥‥‥」

彼女の笑顔とマリーの笑顔からは似た雰囲気を感じられた。
そして、どうしても訊いておきたい事が頭に浮かんだ。

「あの‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

しかし、言葉に詰まった。
それは本当に聞いていいのかについて悩んだ。
そして、ようやく決心し訊いてみることにした。

「もしかして‥‥‥‥‥マリちゃんのお母さん‥‥‥‥ですか?」

訊いた。しかし、返事
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