魔窟の森 3
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理由も無い筈だ。
「貴方が言った通り、避けられる争いなら避けるべきだと思ったからだよ。僕達は神々に仕える民ではあるけれど、それ以前に創造神の作り物。悪魔もまた然り。ならば、害意無き者に敵意を示すは、真の愚行だ」
どうやら、ネールの記憶を通してクロスツェルの説教を聴いたらしい。
長は可愛らしくにこっと微笑み、クロスツェルから手を離した。
そして、人差し指をクロスツェルの前に立てる。
「貴方にこれを授けよう、クロスツェル。きっと貴方達の旅に必要な物だ」
しゃらしゃらと、鈴の音にも似た軽やかな音色を引き連れて。
長の全身から溢れ出した虹色の輝きが、その指先に丸く集まっていく。
拳程度にまで大きくなった輝きは、傾けた指先を伝い。
クロスツェルの胸の中へと、溶け込むように消えた。
「これは……?」
長い髪を器用に逆立てて驚きを表現しているネールと。
ちょっとびっくりしたらしいベゼドラの気配を背中で感じながら。
クロスツェルは自分の胸に手を当ててみる。
見える場所にも、心拍や呼吸にも、特に変化はない。
「アリアの力に敵う物だよ。使い方は自然と理解できる。僕達エルフが代々護り継いできた大切な宝物だから、大事にしてね」
「そんな大切な物を、どうして私に?」
腕を下ろした長は目蓋を閉じ、口元だけで弧を描いた。
「アリアを迎えにきたらしいあの男を止められるのは、現代のこの世界にはアリアしか居ない。そのアリアを僕達側に引き留められるのは、貴方達だけだと思うから。特にクロスツェル。貴方は、彼女にとって重要な立ち位置に在る。まさしく『アリアの鍵』だ」
「!」
ベゼドラの目が丸くなる。
『記憶を読んだ』と言っていた。
つまり長はクロスツェルを通して、魔王と呼ばれた悪魔の再来を知った。
かつて世界を脅かしていた者の再来を。
だから、世界の脅威と対峙する為の物を、クロスツェルに与えたのか。
「世界を救えとか言うなよ、白蟻。俺達は、ロザリアを取り戻せればそれで良いんだ。他の奴らなんぞ知ったこっちゃねぇぞ!」
「知ってるよ、ベゼドラ。でも、貴方達が彼女を取り戻すつもりなら、あの男は絶対に邪魔をする。そうでなくても、貴方達の存在の大きさに気付いてしまったら、男は貴方達を殺しにくるよ。アリアと再会する前に死にたくはないでしょう?」
貴方達は弱いから。
言外にそう言われたベゼドラは、苛立ちながらもそれ以上反論できない。
魔王に叩きのめされてしまったことは、誤魔化しようがない事実だ。
「……ありがとうございます。さすがに世界の命運まで背負うつもりは一切ありませんが、活用はさせていただきます」
クロスツェルはにっこり笑って長に頭
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