二十三話:宿舎と日常
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「………やけにぎこちないな」
「と、とと、遠回しに言うたほうが良いなら善処するわ」
顔を真っ赤にしながらいかにもさっき覚えてきましたと言わんばかりの棒読みセリフを噛みまくりながら告げるジーク。
恐らくは俺が何を言っているのかも分かっていないんだろう。
ふむ……ここは少し乗ってやるべきか?
「ジーク、お前何か変わったか?」
「変わったと感じるならそれはリヒターのせいや」
「確かに色々な意味で俺のせいだな……」
何故か、この台詞だけは真顔で答えてきたジーク。恐らくは冗談抜きの本音なのだろう。
少し、その言葉の裏に恨みが籠っているような気もするが気のせいだろう。
「それはそうとお前も女なんだからこんな時間に男の家に来るな」
「……? いつものことやん。それにリ、リ、リヒターだから来とるんよ」
「俺だからと言うと一体どういう意味なんだ?」
内心で少し悪い笑みを浮かべながらわざと追い込むような台詞を言ってやる。
すると、あうあうと口をせわしなく動かしてせわしなく指を動かし始める。
もはや、クーデレのクーの字は無い。
「す……す………」
「酢? 何だ、地球食でも食べたいのか?」
「ちゃ、ちゃう。す……す…す!」
何やら頭から湯気が出始め真っ赤な状態でオーバーヒートを起こし始めるジークをさらにからかうために俺はジークのおでこに自分のでこを合わせて熱を計る。
さらに顔が赤くなるジーク。目も右往左往して落ち着かない。
ジークは混乱している。
「顔が真っ赤じゃないか風邪でも引いたんじゃないか?」
わざと吐息を吹きかける様に声を掛ける。恐らくジークの内心は『たった二文字や。それを口にするだけや。気張れウチ! て!? や、やっぱり、あかんわこれ!』といった感じだろう。
しかし、何事もやりすぎは禁物らしい。
「ふにゃ〜…………」
猫のような声を出してパタンと倒れ落ちるジークに思わず驚いてしまう。
慌てて抱え起こすがその顔は何故か幸せそうだった。
俺は心配して損した気持ちになり溜息を一つ吐き何気なしに幸せそうに眠るジークの頬を撫で微笑みかける。
「俺も好きだぞ、ジーク………なんてな」
フッと笑い、そのままお姫様抱っこでジークをベッドまで運ぶ。
優しく寝かせ毛布を掛けて俺は近くの椅子に座り寝顔を見ながらのんびりと時間を潰す。
どれくらいか時間が経ったかまだ起きないのでゆっくりと息を吐く。
「まったく……困ったお姫様だ。まあ、乞食な姫というのもおかしな話か」
一人で冗談を言っているともぞもぞと布団からジークが這い出てきた。
寝ぼけ眼で辺りを見渡しているあたり状況が分かっていないのだろう。
「リヒ
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