二十三話:宿舎と日常
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「そして翌朝、寝室で黒焦げで横たわるリヒター君が発見されたとさ。死亡フラグ回収乙やでー」
俺も部屋に戻ろうとしたところではやてさんに呼び止められる。
俺もまだ死にたくはないのでその場に止まることにする。
「それで話ってなんですか。告白なら喜んで」
「はっはっは、お姉さん独身やけどそこまで飢えとらんで。それとそないなこと言っとったらリヒター君の命が危ないんやないの?」
「確かに」
一瞬ジークとアインハルトちゃんの幻影が見えたような気がするが気のせいだろう。
「それで結局何なんですか?」
「うん、まあ単刀直入に言うと君は古代ベルカとなんか関係あるんやないの?」
真剣な顔で尋ねられ、辺りに一触即発の空気が流れる……ということはなく、あくまでもホンワカとした空気で柔らかい表情でそう尋ねられる。
そもそも、どうしてそんな事を聞いてきたのかが分からない。
俺の疑問を察したのかはやてさんが手を軽く振りながら答えてくれる。
「いやな、君の回りは聖王、覇王、雷帝、それにエレミアとおるやろ? やけ、なんか不思議な縁があるんやないかってーな」
「その理屈だとミカヤが一番関わりがあるんじゃないですか?」
「ミカヤんが特に関係ないのは知っとるんよ。だから後は君だけってわけや」
ちゃめっけたっぷりに片目を瞑るはやてさんに俺はまるで刑事ドラマで追い詰められる犯人の様な気持ちになる。
ついでなので俺もノリのために悪役っぽい甲高い笑い声をあげてみる。
「ふははは! ばれたのなら名乗ろう。俺の真の名前は聖王諸国に滅ぼされたノルマン王国、正統後継者―――リヒテン・V・ノルマンだ! 我が身は復讐の為にある!」
「そんな大きな声で中二発言したら周りに迷惑やでー」
「すいません、ちょっと調子乗っていました。後、冷静になると凄く恥ずかしいです」
「ええんやで。誰しも一度は通る道や」
中二発言をした俺を優しい目で見守ってくれるはやてさん。流石はおかん。
恥ずかしさでつい涙が零れてもそれを見逃してくれる包容力が素敵です。
「ま、そんなごろごろとベルカの末裔がおるわけないよな。さっきのは忘れてええで。ほな、おやすみ」
「おやすみなさい、はやてさん」
はやてさんに見送られて自分の部屋に戻る。
特に何も持ってきていないのですることがない。
寝坊助という汚名返上の生活にも飽きてきたころだ。
折角なのだから久しぶりに惰眠をむさぼるとしよう。
そう思っていた矢先にノックの音が響く。
少しムッとしたもののそれを表に出さないようにドアを開けて来客を確認する。
「なんだ、ジークか。こんな時間にどうしたんだ?」
「……あ、ああ、会いとうな、な、なったから、来た」
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