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リリカルビィト〜才牙と魔法が交わる物語〜“改稿版”
五十七話、悲劇
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上昇を続 けて二本目も回避しようとするが――
「危ない!」
「きゃっ!?」
突然なのはの飛行速度が減少し、その動きがゆっくりとしたものになってしまう。その為本来なら回避できたはずのアームを避ける事が出来ず、結果腹部にアームの一撃を受けてしまう
一撃を受けたなのはは飛行状態を維持する事が出来ずに地面へと落ちてしまい、それが結果的に大きな隙となる
「おいなのは! 早くそこから逃げろ!」
明らかに動揺しているのが分かる声色のヴィー タの叫びがその場に響くが、どうやらなのははすぐには動ける様子ではなく、その間にも羽虫は森から移動しながら先程は板のようだったアームの先端をとがらせて再度なのはめがけて伸ばそうと する
「(迎撃は間に合わない……それならっ!)ウィル!!!! 頼む!!!"天撃の"」
「了解!!! "天撃の追風"!!!」
ウィルの応答と共に龍也は風の天撃で加速、更に龍也の周囲を翡翠色の光が包み込み始める。なのはの前に着いた直後、龍也は腹部に鋭い痛みと熱さを感じた
●○●○
〜なのは視点〜
「(くっ……身体が……重い……)」
相手の攻撃を受けて地面へと墜落してしまった私は急いで再度空中へと飛び立とうとする
けどいくら魔力を集中させて飛行魔法を使おうとしても上手く魔力を集中させる事が出来ずにもたついてしまう
「(確かにここ最近色々と魔法を使うのが難しくなっていたけど……こんな時に……)」
ここ最近、任務や訓練中にいつもの感覚で魔法を使おうとした時に上手く魔法が使えない時が あった。それでも普通の時よりも集中して使えば魔法は使えていたので特に誰に相談する事なく過ごしていた
だけど今日はついさっき足をもつれさせてしまった時くらいから急激に身体が重く感じられる ようになり、今に至ってはまともに魔法を行使することさえできない
「(このままだと……攻撃されるっ)」
視界の片隅に私を墜落させた羽虫が現れたかと思うと、先程のアームをゆっくりと振りかぶって再度私に向けて振り下ろしてくる。その一撃は確実に私に向かってくるのが分かり、私はいずれ訪れるだろう痛みに耐える為に身体に力を込めた
そして次の瞬間、私の周囲が翡翠色の光に包まれたかと思うと、予想していた痛みの代わりに私の顔に何か生温かい液体が降りかかってきた
「……えっ…………?」
「た、龍也!?」
「ゴァッ……ガブッ……」
私の顔にかかった液体が地面にたれて赤い染みを作り出す
それを見て私の顔にかかったのが血液だと把握した瞬間、最悪な事態が頭をよぎって顔を上げる
そして顔を上げた私の視界に入ってきたのは、翡翠色の光の中に立つ龍也君の姿。だけどその腹部には羽虫のアームが貫通していて
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