11部分:第十一章
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を離れようとした。だが思い直して扉のところで立ち止まった。
「二つ程聞いておくことがあるわ」
「何ですか?」
「貴女の名前は?」
「真由子です」
少女は名乗った。
「斉藤真由子と申します。この学園の高等部の一年です」
「そう、真由子さんというの」
沙耶香はその名を聞いてその黒い切れ長の目をさらに細めた。
「覚えておくわ。私の愛しい人として」
「そんな」
それを聞いて俯いて顔を赤らめさせた。
「そしてもう一つ聞きたいのだけれど」
「何ですか?」
「ここの部活は活動しているのかしら」
「はい、今もやっていますよ」
彼女、真由子はこう答えた。
「私を入れて八人でやっています」
「そこに顧問の先生も入れてね」
「はい。デリラ先生がやってくれています」
「デリラ先生」
それを聞いた沙耶香の眉が動いた。
「若しかしてシスターデリラかしら」
「御存知なんですか?」
「ええ、ちょっとね」
沙耶香は答えた。
「菜食主義の人よね」
「はい」
「あの人が顧問だったの」
「先生の作られる人形って凄いんですよ」
「そんなに」
「本当に正確で綺麗で。まるで生きているみたいで」
「生きているみたい、ね」
それを聞いてどういうわけか不吉なものを感じた。
「そんなに素晴らしいのね」
「はい。御覧になられますか?」
「よかったら」
彼女は頼んだ。
「見せてもらえるかしら」
「わかりました、それじゃあ」
真由子はそれを受けて立ち上がった。そして部室の奥にある棚から一体の人形を取り出してきた。
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