彼女達の結末
一 姉妹
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す音。そんな音が聞こえないかのように、彼女は動かず、言葉を紡ぎ。
感情の抑揚、心の機微。そういったものをまったく感じない彼女の声……けれど。最後のその言葉には、何処か。窺い知るのが困難な、彼女の感情。願うような、縋るような。そんな思いが垣間見えて。
「……言われなくても。すぐにでも、向かう」
リティの体を支えながら。バルキリーへと声を投げ。
近付きつつある巨大な音。私の返答を聞き、高度を上げ始めるバルキリー。私も、また。リティの体を、爪で傷つけないように抱きかかえて。
「リティ。行くよ」
「ありがとう……街を見て回る暇は、なさそうね。お願い、マト」
浮遊していた彼女が飛び立つ。それと共に、背後。響き渡る轟音。建物を叩き壊し。破片を、瓦礫をばら撒き現れた、巨大なアンデッド。その姿を、横目に見て。
その巨体から逃れ。ネクロマンサーの元へと向かうために。私は、この街。彼女達と対峙した、廃墟の街を。
記憶に無い景色を。何一つ思い出せない。この街並みの、中を、駆けた。
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