彼女達の結末
一 姉妹
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けた場所と同じ。あの時切り落とした、その場所と同じ。その場所を狙おうとして、思わず。
狙いをつけるのを躊躇った、私に。爪を振ろうと迫る私を前にしても、うろたえもせず。焦りもせずに、冷静に。銃口を向けて。
「……すまない」
両手の指が引き金を引く。極近距離で鳴り響く銃声、私の体へと埋まっていく銃弾。肉が抉られていく感触。痛みは無く。けれど。
やっぱり、私も。彼女が腹にナイフを埋めた、その時のように。顔を顰めて。
「正直に言えば、な。ネクロマンサーに、未練は無いんだ。でも……キメラがいるから。それに」
また。彼女は、一歩大きく飛び退きながら。
「キメラがやられた分は、返してやりたい」
再び、引き金を引き。再び、銃弾が埋まる。赤が溢れ、不快な音が響き。深くへと達する前に、粘菌の動き、肉の動き、再生を以って行く手を阻んで。
「頑丈なやつだ。私達にも、それだけの体が与えられればな」
「……あなた達は、何なの」
「ついさっきも訊いた……私達は、ネクロマンサーの創造物。……お前達よりも前に作られた。お前達を作り出す為の、実験台……そうだな」
姉妹、と。言っても、いいのかもな、と。
彼女の言葉。思い出すのは、キメラの言葉。私を姉と呼んだ……彼女の言葉が重なって。いや。
姉。私よりも前に生み出された彼女が。私を。姉と呼ぶのは何故、どうして、私は彼女の姉なのか。
記憶が蘇る。浮かぶ景色。光景。生きていた頃の記憶は。それは、培養槽の中の――――
「だからと言って。加減などしない。只」
何処か遠く感じる景色。痛まないはずの頭が痛み。胸の奥がざわめき立つ。よろめきながらも地に足を着き。揺れた上体、俯くと共に、零れた粘菌は足元に落ちて。顔を上げた私へと。
「……キメラと同じ顔なのは、やりにくいからな」
私の顔へと。キメラと同じ私の顔へと。銃口を向けて。
「マトッ! 伏せて!」
声が響く。その声を聞き。そのまま、その場で。身を伏せる、私の頭上で。
肉が爆ぜる。血液に似た液体が飛び散り。私の体を汚し、空くのは、大穴、零れる綿。何事かを呟こうとして、口から吐き出す赤い粘菌。そして。
赤い線。背後。バルキリーの打ち出したそれが。狙うのは、今、ネメシスを撃ち抜いた。リティに向かって伸びていることに気が付いて。
「リッ……」
それは。リティの腹部を貫き。今も、また。私の腕を落とそうとしたように、その体を焼き続けていて。
「リティッ!!」
ふらつくネメシスの傍ら、抜け、リティの元へと駆け出す。それと共に、途切れる光線。背後でバルキリーの駆動音が聞こえるも、それに構う余裕も無い。彼女の元へ。リティの元へと駆け寄って。
「ごめ
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