彼女達の結末
一 姉妹
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そして、私の足に掛けられる彼女の足。予想した抵抗も無く、足は止められ。突き出した私の腕、体は、体勢を崩し。彼女は――
「バルキリーッ!」
言葉。廃墟の街に響く、ネメシスの声と。その、言葉に、指揮に。応えるように強く輝く、バルキリーの腹部……射出口――光線の前兆が、空に、有って。
肩口を撃ち貫かれる。赤い光線は私の肉を貫き、背から抜け地面を焼いても尚途切れる事無く、そのまま。切断せんと、輝き続けて――
――腕を切り落とされる、否。腕を切り落とした時の光景。あの時。私とそっくりな姿の。彼女の腕を切り落とした時の光景が、脳裏に浮かび。私もまた、あんなふうに。私がやったように。この、腕を。腕を――
――発砲音が鳴り響く。私の想起した、キメラの姿が掻き消される。そして、銃弾が。機械の体を穿つ音。金属同士がぶつかる音。肉が壊れる音とは異なる、生き物ではない、冷たいそれを壊す音と。音と共に、光線が途切れ。幾らかの粘菌が溢れ零れるも、切断されるその前に止んだ損傷と、塞がり始める傷。前のめりに倒れゆく体を、地面に着いた片腕、曲げ、伸ばし。宙へ浮いた体、その勢いのままに前転し、体を捻り、彼女、ネメシスへと向き。着地すると共に、ナイフを投げて。
腹に。彼女の腹に突き立つ刃。一瞬、苦痛に……私達と同じ。感じないはずの苦痛に顔を歪めるも。やはり、痛みは感じないようで。自分の腹に突き立ったそれを、忌々しげに引き抜いた。
「……乱暴な返し方だ」
私を睨みながら刃に着いた粘菌を振り払う。対する私は体勢を整え。地面に足を着く感覚、彼女の前に立ち。ネメシスの背後、さっきまで私が居た場所に立ち、銃を構えるリティを見やり。銃を構え、小さく頷く彼女の姿に、言葉を続ける。
「……あなた達は、何なの」
ネメシスもまた。視線を一瞬、上へと移し、口を開く。
「キメラと同じ。私達はネクロマンサーに作られた……奴は、私達を総じて、サヴァントと呼んでいる」
「……私達は……その、ネクロマンサーに会わないとならない。通して欲しい」
「先にも言った筈だ。……通すわけには、いかない。そういう、命令だから」
ナイフをホルスターへと戻し。二丁の拳銃を抜く。噴き出した粘菌は彼女の足元に垂れ、けれど、それに臆することも無く。只々、じっと。私の隙を窺う彼女は、確かに。まともな思考も持たず、群がり、爪を立てるだけのアンデッドたちよりずっと手強く。バルキリーと共に連携を取り動く彼女は……そして。
感情を持つ、彼女は。傷付けるたびに、罪悪感が湧き。湧けど。
「……ごめん」
言葉と、共に。
「通して」
飛び掛り。腕を振り上げ、爪を宙に翳す。着地と共に振り下ろそうと。彼女の体、肩口を狙おうと――私が傷を受
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ