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或る短かな後日談
彼女達の結末
一 姉妹
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属していて。人々を守るために。襲い来る暴力から救う為に在った。けれど。
 守りたかったはずの街は。この、有り様。生きていた頃の私の過去は。どうやら、悲劇であるらしい。

「なにがあったんだろう。私達に」
「……やっぱり、思い出せない」

 寂しげな顔をしたマト。此処で生まれ育ったわけではなく、生前の彼女は、何処か別の場所で、とも。思ったけれども。
 彼女を私は。生前の私は、マトを。知っている気がしてならなくて。

「……ゆっくり思い出していけばいいのよ。ネクロマンサーを倒しさえすれば、時間はどれだけでもあるんだから」

 記憶を掬い上げる為の手掛かりは、この地下都市に幾らでも残されているはず。私が、この街を見て。見慣れた景色の面影を見て、多くの記憶を取り戻しつつあるように。彼女にとって馴染みある場所にさえ辿り着けたならば、きっと。
 左右に並ぶ建築物の群。沈む人工の太陽と、長く伸びた影。私達二人の影は、私達の進む方角へ。細く、長く、手を繋いだまま、伸びて。

 私達のほかに人影はなく。静まり返った地下都市。地上に残した廃墟の街に――此処もまた、同じく廃墟とはいえ――建築物の見た目、形、その並びは、砂に塗れたそれに似ていて。

 この街は。嘗て、新都と呼ばれた。残された街は、旧都……忘れることも出来ず。新たな街にその影を重ね、築き上げた地下の街。静かな街。

 音の無い街。声を失った街。そんな、静かな。只々、静かな、この街に。


 音が、響いた。



◇◇◇◇◇◇



 その発砲音は傍らを歩む彼女の銃のそれに似て。私達の足元、黒い地面を撃ち抜いた。

 何処から狙い撃たれたのか。銃声の聞こえた方角を見ても、廃墟。恐らく、割れ落ちた硝子、窓の向こう。暗がりの中に潜んだ敵による狙撃。敵の位置を確認しようとしている間にも、また。別の箇所からの発砲。相手が見えない分、数が分からない分。どう対処すべきか迷い。
 私の手を握ったままの、彼女は。私が迷う間に駆け出し。手を引き。近くの建物、古びた扉を蹴破った。

「マト、大丈夫?」
「大丈夫。どうする」

 外に出れば狙撃手に狙われ。しかし、このままここに居れば。現れるだろう敵に追い詰められるだろう。敵から姿を隠している今、打つ手を考えなければならない。

「……何処か、逃げる道はないかしら」

 見回せば、広い空間、机の残骸。引き裂かれたまま床に落ちたクロス。廃墟の奥には、蝶番から落ちた扉、その先に続く狭い通路。壁の色は褪せ、穴や抉った痕、黒い染み……
 止まった換気扇、厨房。僅かに匂う油の匂い、錆びの匂い。廃墟の裏手へと、彼女と二人で足早に進み行く。

「……昔は、飲食店だったのかもね。裏口があると良いのだけれど」

 彼女
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