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Impossible Dish
第四食
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らっしゃった。

「最近えりなの様子が明るくなったと評判だ。よくやってくれているようじゃな」
「恐縮です」

 そんなに顔に表れていたのかとようやく気づき人知れず紅潮した私だったが、次の会話でびしゃりと冷や水を被ったような気持ちになった。

「それで、課題の方はどうだ」
「っ、申し訳ありません、まだ七ページほど残っています」
「ふむ、珍しいな……。まあ良い、お前なら挽回できるはずだ。気を緩めず励むのだぞ」
「はい。ご足労いただきありがとうございました」

 えも言えぬ感覚に襲われながらも、この会話を盗み聞きしていたのがばれるといけない気がして、咄嗟に靴下のまま縁側を降りて壁に隠れた。
 早まる動悸を押さえつけながら壁の向こう側で遠ざかる足音と戸が閉まる音を聞き、ため息を付く。

 七ページ? 与えられてる課題は私に認めてもらうことでなくて? 

 ぐるぐると二人の会話が頭の中でとぐろ巻く。そして、自己申告したときの兄の顔が脳裏に焼きつく。

 恐怖していた。顔を青く染め、脂汗を流し、声を震わせて、怖がっていた。
 誰に? 何に? それは解らない。だけど、必死に縋り付いているものが消えてしまう場面を目撃したかのような、尋常ならざる恐怖に晒されているような緊迫感が兄の顔にはあった。

 途轍もなく嫌な予感が胸のうちを駆け巡る中、ようやく動悸が静まってきた頃に、唐突に隣から声を掛けられた。

「ふぅん、えりなってそんな顔できたんだぁ」
「ひゃっ!?」

 誰もいないと思っていたことも相まって情けない悲鳴を零しながら思い切り飛び退く。上体を後ろに反らして振り向けば、そこには雪のような白銀の髪と肌を持った赤眼の少女が悪戯に成功したと言わんばかりの笑みを浮かべて立っていた。

「ア、アリス、貴女いつの間に……!?」
「いつの間にも何も、私は最初からここにいたわよ。えりなが急に飛び込んできたんじゃない」

 そう言い返されうっと頬が引きつるのを自覚する。

 よりにもよってアリスに見られてたなんて……。

 思い切り苦虫を噛み潰したように顔を歪めてやると、怒ったように少し頬を膨らませた

「何よその顔は! 失礼しちゃうわ! 靴下で外に飛び出してきたのを心配してあげたのに!」

 言われて思い出し、思わず意味も無く片足を地面から離す。裏を見てみると土がしっかり付いており、手遅れなのを確認して地に着ける。

「別に頼んだ覚えは無いわ」
「まあ! 人の情けを無碍にするなんて、ろくな死に方しないわよ!」
「……それ、どこで覚えてきたの?」
「つい昨日やってたドラマよ」
「はあ……そんなことだろうと思ったわ。それで、貴女こそこんなところで何をやってたのかしら?」

 コロコロ変わる表情が
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