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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
26.迷子のアニエス
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エスでなければ勘違いしてしまいそうなほどに真摯な瞳に、リングアベルとベルは目を見合わせる。

「先輩。またレベル高い人が来ましたよ………」
「うむ。いま確実にアニエスの心が揺れたぞ。純朴そうな顔して意外とヤリ手だな」
「ええっ!?ぼ、僕は別にそんなつもりで言ったわけじゃ……!」
「そ、そうです!貴方のような軽薄な人物とティズを一緒にしないで下さい!」

 顔を真っ赤にしながら慌てて否定するティズの姿は、いかにも初々しくてイジり甲斐がありそうだ。
 アニエスも含め、どうやら2人揃って天然の中の天然らしい。

 どうやらティズがアニエスと出会ったのはつい最近らしく、彼女の壊滅的な方向音痴に関しては知らなかったようだ。そうと分かっていれば決して一人では出歩かせないだろう。こっそりアニエスの元からティズの方へ戻ってきたエアリーをちらりと見ると、エアリーは頬を膨らませてぽかっとティズの背中を蹴った。

(エアリーは悪くないもん!アニエスが右って言ったら左に行って、前って言ったら横に行くからいけないんだもん!)
(………アイズが昨日あんなに念入りに道を教えてた理由が分かったよ。ともかくこっちに……)

 さり気なく道具ポーチを開いてエアリーを中に隠す。万一目撃でもされたら説明が大変だ。
 
「と、ともかく……二人ともアニエスを助けてもらってありがとうございます!」
「あぁそれは別にいい。それより俺はアニエスに感謝のハグをしてもらいたいんだが……」
「拒否します」

 氷のように冷たい瞳であっさり却下。今度の瞳は拒絶ではなく純粋に冷めきっているだけである。
 しかし、障害があった方が余計に燃え上がるのがリングアベルという男。やめときゃいいのにへこたれないのだ。

「まぁそう言わずに!俺の胸へ飛び込んでこう、ギュッと……アデッ!?」

 ずいずい迫ろうとしたリングアベルの頭に、横から飛来した資料の束がバスン!と直撃した。

「コラッ!女の子にセクハラしようとしない!」
「イタタ……え、エイナ嬢か。なんなら君のハグでも受け付け……」
「……もう一発喰らってみる?」
「すまん、冗談だ!だから振り上げた資料を下してくれ!!」
 
 営業スマイルと共にエイナが天高く振りかざされた紙束に、さしものリングアベルも顔が引きつる。
 呆れ果てた周囲の目線。流石にこれ以上は分が悪い(というか最初から分が悪い)と思ったリングアベルは自重した。ヘスティア的にはもっと自重してくれると丁度いいのだが。

「エイナさん!ただいまダンジョンから戻りました!」
「お帰りなさいベル君!でも、悪いけど先約があるからちょっと待っててね?」
「おぉ〜い……俺にお帰りなさいは無しか?」
「さっき頭にかました一発が挨拶代わりです。もっと欲し
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