閑話―猪々子― 下
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賭けるのはご法度である。そうなれば必然的に自分に賭けた事になる。何故それに戦慄するか――
袁紹を語る上で無視できない特徴がある。運の良さだ。それも並大抵のものではない。
頭上から鳥の糞が落下してくれば、何かで立ち止まりそれを回避し。
何かを始めれば必ず成功し。くじを引けば必ず当たり、気がついたら美女の臣下に囲まれていて、そして賭け事は――外したことが無かった。
だが猪々子は不敵な笑みを浮かべる。今回は『大食い』大会なのだ。運が関与する場面は無い。
そこまで考え視線を恋に移す。やはり注目すべきは彼女だ。
恋には沢山の『家族』がいる。そのため食費も袁家で一番掛かっているのだが、大部分は恋の大食いが原因だ。個人の食費だけで言えば猪々子よりも上である。猪々子はあえて袁紹と張飛を無視。恋を好敵手に定めた。
「それでは一品目、巨大肉まんーー!!」
そしてついに大食い大会が始まる。小手調べとばかりに現れた巨大な肉まん。
司会者の合図と共に皆がかぶりついた――
「五品目、特盛チャーハン完食ーー! 一般の方々はもう残っていませんが、有力選手はなんと四人全員残っています! 信じられません!!」
「マジかよ」
その事実に猪々子は素直な感想を洩らす。両隣の恋、そしてトントンと言う娘は兎も角、袁紹がここまで大食いなのは予想外だ。
「麗覇様ってそんなに食えたっけ?」
「我がいつ食えないと言った。普段は『食わぬ』だけだ」
袁紹にとって食事とは量よりも質である。美味な料理を適量堪能する事を好む彼は、その言葉の通り満腹まで食事したことが無いだけで、胃袋の限界まで挑戦したことが無い。
普段であれば名族として大食いを自重するところだが、今日は祭りである。遠慮はいらない。
「……」
「あれ、恋?」
「む、どこにいくのだ?」
「んにゃ?」
突然立ち上がった恋に皆が反応する。彼女はのんびりとした足取りで近くにいた『家族』達の所へ向かいそして――毛玉に倒れこむように体を預け寝息を立て始めた。
「おおっと!? 最優勝候補の呂布選手ここで限界を迎えたーー!!」
そんな馬鹿な! 各所で信じられないと言う声が上がる。
「はいはい皆さんお静かに、私が呂布選手を良く知る陳宮様から、理由を聞いて参りましたので」
騒然としだしていた会場は司会者の言葉で沈静化した。驚きはしたが理由があるのなら――と皆が静まり返ったのを確認した司会者は言葉を続ける。
「えっと、陳宮様の話しでは『呂布殿は大会前に、出店の料理を堪能してきたのです』とのことです。流石の呂布選手も全出店を制覇した後では満腹が近ったようですね」
「恋の奴、出店の
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