閑話―猪々子― 下
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が経った道中。
金銭管理を担当していた劉備が確認した時であった。幽州まではまだ遠く、難儀していた劉備達は大事を取って引き返してきたのだ。
とは言え、既に料亭の一件で助けになった袁家に無心するわけにはいかず。短期間の働き口を探して途方に暮れていると、今回の大食い大会を人伝に知った。そして優勝賞金を狙い彼女達の中で一番の大食いである張飛が参加することになったのだ。……無論、保険として料亭で働いてもいるが
「何も被り物をさせずとも……」
「だって恥ずかしいじゃない!」
張飛の顔を隠すために被らせた豚の被り物を見て言及する関羽。劉備はまくし立てるように弁論した。
言うまでも無いがこの祭りは袁家主催である。そうなれば袁紹達とも出くわす可能性が高い。
会わせる顔が無い――謁見の際に醜態を晒したのもあるが、本来であればすでに幽州に到着しているはずの自分達が此処に居るのはまずい。
袁紹は気にしないかもしれない。彼ならきっと高笑いと共に路銀を融通してくれるだろう。
だが、袁紹に尊敬の念を抱き始めていた劉備は、これ以上無様な姿を見せたくなかった。
「……」
両の手で顔を隠し。耳まで赤くなった主を見ながら関羽は溜息を洩らす。
それまで唯我独尊な主が羞恥心を覚えたのは嬉しいが、それとあの被り物は話しが違う。顔を大きく覆っているため隠せてはいるが体が出ている。服装も変えておらず口調も今まで通りだ。本気で誤魔化そうとしているのだろうか
既に隣の食卓に着いている文醜と親しげに話している。そんな様子を見て関羽は頭を抱えそうになった。
「そして最後に登場するのは何とあのお方『名族の胃は無限大?』袁本初様ーー!!」
「フハハハハハ! 我、参・上である!!」
『……』
金色の光と共に現れた袁紹に皆が数瞬惚け、そして――
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッッッ!!』
大地を揺るがすような歓声が響き渡った。猪々子と恋は目を丸くしている。
袁紹の参戦は彼女達に伏せられていたのだ。
他の参加者達よりも一際豪華な食卓に着く袁紹。猪々子は思わず話しかけた。
「麗覇様……参加すんの?」
「愚問である。この席に着いているのだからな!!」
「……」
猪々子は首を傾げる。他の大会ならまだしも今回は大食い大会なのだ。これまで袁紹と共に過ごしてきたが、彼の食事の量は普通だ。大食いなどではない。
余興として参加したと見るのが普通だが――あることを確認しなければいけなかった。
「な、なぁ麗覇様……もしかして賭けていたりする?」
その言葉に袁紹は笑みで答えた。あ、これ賭けてるわ、と察し戦慄する。
参加者が他人に
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