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恋姫†袁紹♂伝
閑話―猪々子― 下
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 第一回の武芸大会から月日は流れ、恋、音々音、星、風など、頼れる仲間が増え、劉備達とした邂逅した後日。

『第一回袁家主催チキチキ、出された料理は全部平らげろ大食い大会〜〜』

『うおおおおおおおおおおおおお!』

 猪々子発案による大食い大会が決行されていた。





 時を少し遡る。
 
 ここ南皮では袁家主催の祭りが度々開かれる。その内容は武芸大会に留まらず数多く存在する。
 今の時代では娯楽が少なく退屈な日々が続いている。そんな民衆に生きる活力を与えようと様々な催しを企画しているのだ。

「さて、他に案がある人は?」

 袁家の屋敷、その一室で通例となる会議を開く、進行は桂花が務め、斗詩が書記だ。
 祭りの主な目的は民衆に娯楽を与えることだが、それと同時に南皮の経済を活性化させる役割も担っている。特に武芸大会など、他地域から強者を呼び寄せるような催しは陣営の強化にも繋がるため、袁家にとって祭りの企画は重要な政務になっていた。

「我が出した案でよかろう?」

「否、私の案こそ最善ですぞ!」

『却下』

 自分達の案を薦める袁紹と星の両名。その二人を除く全員から即座に反対の声が上がった。

 袁紹発案の祭りの内容は『お御輿』 自由に作り上げた御輿を担ぎ上げ街を練り歩くというもの。一見普通の祭りだが問題が多い。南皮での祭りは宣伝をしてから開かれるため基本的に人で埋め尽くされる。人が通るのもやっとな状況に多数の御輿は危険である。

「隙間を風のように駆け抜ければよかろう!!」

『無理』

 確かに袁紹の御輿は驚異的な機動力を発揮し人ごみさえ物ともしない。だがそれが出来るのは彼の御輿だけであり、一般人にそれを求めるのは酷と言うものだ。そもそも御輿祭りでは大した経済効果は望めない。
 皆の反応に意気消沈した袁紹は真っ白になりながらうな垂れる。彼の闘い終わったのだ……

「フ、やはり私の――『それも無い』せめて最後まで言わせよ!」

 再び名乗りを上げた星に対し食い気味に口を挟む。彼女の発案した祭りは―――

「何故だ!? メンマと酒の需要は大陸一であろう!!」

 彼女の趣向丸出しな『メンマと酒』の品評会であった。――そこまで悪くは無い。
 御輿に比べれば利益を得られるだろうし。美食は娯楽にもってこいだ。だが――

「需要が狭すぎるわ!」

「ば……馬鹿な」

 桂花は歯に衣着せぬ言葉で一蹴した。彼女の言うとおり需要が余りにも狭い。
 酒は兎も角、そのツマミがメンマだけでは飽きられてしまう。それに利益があるとは言え、あくまで御輿と比べてであって、大した経済効果は望めないだろう。

「星」

「……恋?」

「私も…………メンマ好き」


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