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トワノクウ
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第三十二夜 明野ヶ原に花開く(二)
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 ひどい血と火のにおい。
 殺せと叫ぶ声と、やめろと訴える声。――断末魔。

 くうはぺたんと地面に座り込んだ。

「何で千歳は、あまつきをこんなふうに作ったんですか……」

 両手で顔を覆う。泣きはしないが、泣きたかった。

「簡単に言えば自浄作用。あるいはアポトーシス。人の発展を抑制することで、現代日本に数ある問題の解決法を見出す。人を殺しにくいよう制約はきちんと設けておいた上で」
「……血の、穢れ」

 きっと今、くうが「やめて!」と飛び込んだところで、事態は変わらない。止められるものなら梵天か菖蒲がとっくにやっているはずだ。


 明がくうの横に片膝を突き、手を取って掌に何かを落とした。
 手の中に落ちたのは、夜行の鈴。

「薫ちゃんと中原君のことを克服できたらその鈴を鳴らして。その時に私は、君の生まれ持った業と、あまつきとの本当の因果を教えてあげる」

 言い残し、彼女は闇夜に消えた。


 それが終わり。
 この長い一夜の、あっけない幕切れだった。



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