トワノクウ
深夜 胸に抱けばみどりごは
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んた、起きて」
萌黄さんは泣きそうな顔で俺を見上げた。
「ごめんね、篠ノ女君、こんなおばさんに付き合わせちゃって。千歳の業に巻き込んでしまって」
違う。
それを言うなら俺だって、俺の分をわきまえない約束にあんたを巻き込んで、女として大切なものまで奪ってしまった。
「大丈夫。篠ノ女君ならきっと、もっと素敵な人がこれからいくらでも見つかるから……」
そんなことを言わせたいわけじゃない。
そんな悲しそうな顔をさせたいわけじゃない。
気付いたら俺は萌黄さんを強く抱きしめていた。
少し前まではこの人と密着すると胸が先に当たってたんだが、今は膨らんだ腹部が先に当たる。
――ここに、いるからだ、俺達の子供が。
「篠ノ女君?」
「――萌黄さん」
腹は括った。これが、今もあまつきで眠り続けるあいつへの裏切りになろうとも。
一つの命をこの世に発生させた責任をとる。
「結婚してくれ」
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