暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
46 恐怖、憎しみ、そして安息
[9/9]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
間のすることではない。
マヤは自分が受けた暴力を思い出したと同時に、熱斗の悔しさも察して思わず唇を噛んだ。
だが次の熱斗は次の瞬間、頭を抱えて叫びだした。

「…ッ…何で…ウワァァ!!!!」

「おい!?大丈夫か!?」
「落ち着いて!!」

頭の中で取り調べの記憶が蘇り始めていたのだ。
何度も顔面と腹部を集中的に殴られ、蹴られ、激痛で意識が途切れそうになる度にライトの強い光を目に当てられる。
そして自分を罵倒する言葉と自白を強要する、いや正確には嘘の自白を迫る怒号が耳を突き、胸に激しい痛みが走ったのだ。
身体の傷は癒えても、心の傷は中々癒えない。
それもつい数時間前の出来事なら寸分違わず思い出せてしまう。
癒やすには幸せな思い出や他者との触れ合いの中で乗り越えていくか、時間の流れの中で忘却するしかない。
今はどちらも可能な状況ではなかった。
それに今の熱斗を支配しているのは、その暴力に対する恐怖だった。
今まで自分が誰かを傷つけてしまったことはあるだろう。
元から熱斗は暴力を奮うことは好きではない。
その度に心の何処かが傷んではいた。
だが今日は違った。
自分の心が折れるまで暴力を受け、暴力の恐ろしさを知った。
そして、今の熱斗に冷静な思考で自分が逆の立場だったらと考えることが可能な余裕があったなら、その恐ろしさは想像を絶するものになっていただろう。

「ウッ…ウゥゥゥ…!」

「落ち着けって!もう誰もアンタを殴ったりも蹴ったりもしないから!!」

暴れる熱斗を押し倒し、両腕を抑えるて静止を試みた。
なおも暴れる熱斗は何かに怯え、何かに必死に抗おうとしているようだった。
だが身体の方が先に限界を迎え、力尽きて意識を失ってしまった。




[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ